解熱鎮痛薬としてよく使われている有名なロキソニン(ロキソプロフェン)。

痛み止めや炎症を抑えるのに用いられるロキソニンですが、ほかの薬との飲み合わせに注意する必要があります。

ロキソニンには病院で処方される処方薬とドラッグストアなどで買える市販薬があります。

処方薬の服用については医師や薬剤師が関わっているため、他の薬の併用がある場合は指摘してくれるので大丈夫です。

しかし市販薬の場合、「他の薬と一緒に飲んで大丈夫なのか」自分で把握しなければいけません。不安な点があれば薬剤師に相談しましょう。

この記事では、添付文書を参照しながらロキソニンの相互作用(他の薬の飲み合わせ)について説明します。

まとめ:飲み合わせに注意する薬

最初に結論として、ロキソニンと一緒に服用してはいけない薬・注意する薬をまとめておきます。

ロキソニンを服用しているときに一緒に服用してはいけない薬は以下のものです。

  • 他の解熱鎮痛薬
  • かぜ薬
  • 鎮静薬

そして併用に注意する薬は以下のものです。

  1. クマリン系抗凝血剤
    •  ワルファリン
  2. スルホニル尿素系血糖降下剤:
    • トルブタミド等
  3. ニューキノロン系抗菌剤:
    • エノキサシン水和物等
  4. メトトレキサート
  5. リチウム製剤:
    • 炭酸リチウム
  6. チアジド系利尿薬:
    •  ヒドロフルメチアジド、ヒドロクロロチアジド等
  7. 降圧剤:
    • ACE阻害剤
    • アンジオテンシンII受容体拮抗剤等

不安な点は医師や薬剤師に相談しましょう。

以下、詳しく説明していきます。

相互作用(飲み合わせに注意する薬)

まず、処方薬と市販薬の添付文書(薬の説明書)を見ていきましょう。

一般的な錠剤の、処方薬である「ロキソニン錠60mg」と市販薬である「ロキソニンS」は同じものです。

詳しくは【ロキソニン】処方薬と市販薬(一般薬)の違いは?どちらが安い?をご覧ください。

市販薬の添付文書の記載は?

市販薬である「ロキソニンS」の添付文書には、「使用上の注意」の「してはいけないこと(守らないと現在の症状が悪化したり,副作用が起こりやすくなります)」の項目に以下の記載があります。

本剤を服用している間は,次のいずれの医薬品も服用しないで下さい。
 他の解熱鎮痛薬,かぜ薬,鎮静薬

出典:「ロキソニンS」添付文書

つまり、ロキソニンを服用しているときは

  • 他の解熱鎮痛薬
  • かぜ薬
  • 鎮静薬

を服用してはいけない、ということです。

ロキソニンと同じような作用の薬を服用すると、

  • 作用が重なって作用が強く出すぎたり(熱が下がりすぎる等)、
  • 副作用が強くでてしまう

ことが考えられます。

ロキソニンを服用するときは、他に服用している薬がないか確認しましょう。ロキソニンと併用して大丈夫かどうか分からないときは医師や薬剤師に相談しましょう。

処方薬の添付文書の記載は?

処方薬である「ロキソニン錠60mg/ロキソニン細粒10%」の添付文書には、ロキソニンの相互作用(飲み合わせ)について以下のように書かれています。

相互作用

併用注意(併用に注意すること)

1. 薬剤名等 クマリン系抗凝血剤
  ワルファリン
臨床症状・措置方法
その抗凝血作用を増強するおそれがあるので注意し、必要があれば減量すること。
機序・危険因子
本剤のプロスタグランジン生合成抑制作用により血小板凝集が抑制され血液凝固能が低下し、その薬剤の抗凝血作用に相加されるためと考えられている。
2. 薬剤名等 スルホニル尿素系血糖降下剤
  トルブタミド等
臨床症状・措置方法
その血糖降下作用を増強するおそれがあるので注意し、必要があれば減量すること。
機序・危険因子
本剤のヒトでの蛋白結合率は、ロキソプロフェンで97.0%、trans-OH体で92.8%と高く、蛋白結合率の高い薬剤と併用すると血中に活性型の併用薬が増加し、その薬剤の作用が増強されるためと考えられている。
3. 薬剤名等 ニューキノロン系抗菌剤
  エノキサシン水和物等
臨床症状・措置方法
その痙攣誘発作用を増強することがある。
機序・危険因子
ニューキノロン系抗菌剤は、中枢神経系の抑制性神経伝達物質であるGABAの受容体への結合を阻害し、痙攣誘発作用を起こす。本剤の併用によりその阻害作用を増強するためと考えられている。
4. 薬剤名等 メトトレキサート
臨床症状・措置方法
血中メトトレキサート濃度を上昇させ、その作用を増強することがあるので、必要があれば減量すること。
機序・危険因子
機序は不明であるが、本剤の腎におけるプロスタグランジン生合成抑制作用により、これらの薬剤の腎排泄が減少し血中濃度が上昇するためと考えられている。
5. 薬剤名等 リチウム製剤
  炭酸リチウム
臨床症状・措置方法
血中リチウム濃度を上昇させ、リチウム中毒を起こすことがあるので血中のリチウム濃度に注意し、必要があれば減量すること。
機序・危険因子
機序は不明であるが、本剤の腎におけるプロスタグランジン生合成抑制作用により、これらの薬剤の腎排泄が減少し血中濃度が上昇するためと考えられている。
6. 薬剤名等 チアジド系利尿薬
  ヒドロフルメチアジド、ヒドロクロロチアジド等
臨床症状・措置方法
その利尿・降圧作用を減弱するおそれがある。
機序・危険因子
本剤の腎におけるプロスタグランジン生合成抑制作用により、水、ナトリウムの排泄を減少させるためと考えられている。
7. 薬剤名等 降圧剤
  ACE阻害剤
  アンジオテンシンII受容体拮抗剤等
臨床症状・措置方法
その降圧作用を減弱するおそれがある。
機序・危険因子
本剤のプロスタグランジンの生合成抑制作用により、これらの薬剤の降圧作用を減弱させる可能性がある。
8. 薬剤名等 降圧剤
  ACE阻害剤
  アンジオテンシンII受容体拮抗剤等
臨床症状・措置方法
腎機能を悪化させるおそれがある。
機序・危険因子
本剤のプロスタグランジンの生合成抑制作用により、腎血流量が低下するためと考えられる。

出典:「ロキソニン錠60mg/ロキソニン細粒10%」添付文書

ロキソニンを服用する際、併用に注意する薬は整理すると以下のようになります。

  1. クマリン系抗凝血剤
    •  ワルファリン
  2. スルホニル尿素系血糖降下剤:
    • トルブタミド等
  3. ニューキノロン系抗菌剤:
    • エノキサシン水和物等
  4. メトトレキサート
  5. リチウム製剤:
    • 炭酸リチウム
  6. チアジド系利尿薬:
    •  ヒドロフルメチアジド、ヒドロクロロチアジド等
  7. 降圧剤:
    • ACE阻害剤
    • アンジオテンシンII受容体拮抗剤等

これらの薬を飲んでいてロキソニンを服用する場合、医師や薬剤師に相談するようにしましょう。

ロキソニンと併用注意の薬について、それぞれ説明していきます。

クマリン系抗凝血剤: ワルファリン

ワルファリン(ワーファリン)は血液を固めるのを防ぐ薬で、心筋梗塞の予防などに用いられます。

ロキソニンとワルファリンを併用すると、ワルファリンの抗凝血作用(血液を固めるのを防ぐ作用)が強くなるおそれがあります。

ワルファリンの抗凝血作用が強くなると、出血しやすくなるといった副作用が出やすくなります。

ロキソニンがワルファリンの抗凝血作用を強めるしくみ

ロキソニンはプロスタグランジンの生成を抑えることで作用を発揮します。

プロスタグランジンには痛みを強める作用がありますが、血小板を凝集させる作用(血液を固める作用)もあります。

そのため、ロキソニンによってプロスタグランジンの生成が抑えられると、ワルファリンの抗凝血作用(血液を固めるのを防ぐ作用)が強くなると考えられています。

ロキソニンの作用機序などについては【解熱鎮痛薬】ロキソニン®(ロキソプロフェン)【NSAIDs】で説明しています。

スルホニル尿素系血糖降下剤: トルブタミド等

スルホニル尿素系血糖降下剤は「スルホニル尿素(SU)剤」のことで、血糖値を下げる薬であり、糖尿病に用いられます。

糖尿病でSU剤を服用している場合、ロキソニンとの併用に注意する必要があります。

SU剤は以下のようなものがあります。

  • SU剤
    • アマリール®(グリメピリド)
    • ダオニール®(グリベンクラミド)
    • オイグルコン®(グリベンクラミド)
    • グリミクロン®(グリクラジド)
    • ヘキストラスチノン®(トルブタミド)

ロキソニンはSU剤の血糖降下作用を強めるおそれ

ロキソニンとSU剤を併用すると、SU剤の血糖降下作用を強めるおそれがあります。

SU剤の作用が強く出て血糖値を下げすぎると、恐ろしい低血糖といった副作用が出る場合があります。

専門的になりますが、ロキソニン(ロキソプロフェン)はタンパク結合率が高く、併用するとSU剤の非結合型が増えるため作用が強くなると考えられています(添付文書参照)。

ニューキノロン系抗菌剤:エノキサシン水和物等

ニューキノロン系抗菌剤は感染症などに用いられる抗生物質で、以下のようなものがあります。

  • ノルフロキサシン(バクシダール®
  • レボフロキサシン(クラビット®
  • オフロキサシン(タリビット®
  • シタフロキサシン(グレースピット®
  • エノキサシン(フルマーク®
  • 塩酸シプロフロキサシン(シプロキサン®
  • トスフロキサシントシル酸塩(オゼックス®

ロキソニン+ニューキノロン系で痙攣誘発のおそれ

ロキソニンをニューキノロン系と併用すると、ニューキノロン系の痙攣誘発作用を強めるおそれがあります。

ニューキノロン系抗菌剤は、中枢神経系の抑制性神経伝達物質であるGABAの受容体への結合を阻害し、痙攣誘発作用を起こす。本剤の併用によりその阻害作用を増強するためと考えられている。

出典:「ロキソニン錠60mg/ロキソニン細粒10%」添付文書

メトトレキサート

メトトレキサート(リウマトレックス®)は葉酸代謝拮抗薬であり、免疫抑制薬という種類の薬です。

メトトレキサートはリウマチなどに用いられ、炎症を抑える薬です。

ロキソニン併用でメトトレキサートの作用増強のおそれ

ロキソニンを併用することでメトトレキサートの血中濃度が上がり、作用を増強するおそれがあります。

機序は不明であるが、本剤の腎におけるプロスタグランジン生合成抑制作用により、これらの薬剤の腎排泄が減少し血中濃度が上昇するためと考えられている。

出典:「ロキソニン錠60mg/ロキソニン細粒10%」添付文書

リチウム製剤:炭酸リチウム

炭酸リチウムは抗うつ薬であり、気分を安定させるため、うつなどに用いられます。

ロキソニン併用でリチウム中毒のおそれ

ロキソニンを併用することでリチウムの血中濃度が上がり、リチウム中毒をおこすおそれがあります。

機序は不明であるが、本剤の腎におけるプロスタグランジン生合成抑制作用により、これらの薬剤の腎排泄が減少し血中濃度が上昇するためと考えられている。

出典:「ロキソニン錠60mg/ロキソニン細粒10%」添付文書

チアジド系利尿薬: ヒドロフルメチアジド、ヒドロクロロチアジド等

チアジド系利尿薬は尿をたくさん出すようにする薬で、血圧を下げたりするのに用いられます。

チアジド系利尿薬は次のようなものがあります。

  • フルイトラン(トリクロルメチアジド)
  • ヒドロクロロチアジド、べハイド(ベンチルヒドロクロロチアジド)

ロキソニンの併用で利尿・降圧作用を弱めるおそれ

ロキソニンを併用すると、チアジド系利尿薬の利尿・降圧作用を弱めるおそれがあります。

機序・危険因子本剤の腎におけるプロスタグランジン生合成抑制作用により、水、ナトリウムの排泄を減少させるためと考えられている。

出典:「ロキソニン錠60mg/ロキソニン細粒10%」添付文書

降圧剤:ACE阻害剤、アンジオテンシンII受容体拮抗剤等

ACE阻害薬、アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬ARB)は血圧を下げる薬で、高血圧症などに用いられています。

ロキソニンの併用で降圧作用を弱めるおそれ

ロキソニンを併用すると、ACE阻害薬、アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)の降圧作用が弱くなるおそれがあります。

本剤のプロスタグランジンの生合成抑制作用により、これらの薬剤の降圧作用を減弱させる可能性がある。

出典:「ロキソニン錠60mg/ロキソニン細粒10%」添付文書

ロキソニンの併用で腎機能悪化のおそれ

ロキソニンを併用すると、腎機能が悪化するおそれがあります。

本剤のプロスタグランジンの生合成抑制作用により、腎血流量が低下するためと考えられる。

出典:「ロキソニン錠60mg/ロキソニン細粒10%」添付文書

まとめ

ロキソニンを服用するとき、飲み合わせに注意すべき薬をまとめておきます。

  • 他の解熱鎮痛薬
  • かぜ薬
  • 鎮静薬
  1. クマリン系抗凝血剤
    •  ワルファリン
  2. スルホニル尿素系血糖降下剤:
    • トルブタミド等
  3. ニューキノロン系抗菌剤:
    • エノキサシン水和物等
  4. メトトレキサート
  5. リチウム製剤:
    • 炭酸リチウム
  6. チアジド系利尿薬:
    •  ヒドロフルメチアジド、ヒドロクロロチアジド等
  7. 降圧剤:
    • ACE阻害剤
    • アンジオテンシンII受容体拮抗剤等

不明な点があれば医師や薬剤師に相談するようにしましょう。

ロキソニンの市販薬

最後に、ドラッグストアなどで市販薬として買えるロキソニンを紹介します。

ロキソニンは「第一類医薬品」という部類の薬なので、薬剤師がいないと買えません。

インターネットでも購入できますが、文書での情報提供をしっかり受ける必要があります。インターネットで購入する場合は、本来なら直接薬剤師から情報提供を受けるべきことを覚えておきましょう。

ロキソニンS

シンプルにロキソプロフェンが入っている「ロキソニンS」です。

ロキソニンSプラス

「ロキソニンSプラス」にはロキソプロフェンのほか、胃を守る成分として「酸化マグネシウム」が入っています。

ロキソニンSプレミアム

「ロキソニンSプラス」にはロキソプロフェンのほか、

  • アリルイソプロピルアセチル尿素:鎮痛効果を高める
  • 無水カフェイン:鎮痛効果を補助する
  • メタケイ酸アルミン酸マグネシウム:胃を守る

このような成分が加えられています。

楽天市場では購入できるようです。リンクからチェックしてみてください!

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ロキソニン(ロキソプロフェン)に関する記事を紹介します。

ぜひご覧下さい。

http://kusuri-yakugaku.com/wp-content/uploads/2017/01/7d8de0b301a170440cf34842f1a58077.jpghttp://kusuri-yakugaku.com/wp-content/uploads/2017/01/7d8de0b301a170440cf34842f1a58077-150x150.jpgTomクスリ解熱鎮痛薬としてよく使われている有名なロキソニン(ロキソプロフェン)。 痛み止めや炎症を抑えるのに用いられるロキソニンですが、ほかの薬との飲み合わせに注意する必要があります。 ロキソニンには病院で処方される処方薬とドラッグストアなどで買える市販薬があります。 処方薬の服用については医師や薬剤師が関わっているため、他の薬の併用がある場合は指摘してくれるので大丈夫です。 しかし市販薬の場合、「他の薬と一緒に飲んで大丈夫なのか」自分で把握しなければいけません。不安な点があれば薬剤師に相談しましょう。 この記事では、添付文書を参照しながらロキソニンの相互作用(他の薬の飲み合わせ)について説明します。 まとめ:飲み合わせに注意する薬 最初に結論として、ロキソニンと一緒に服用してはいけない薬・注意する薬をまとめておきます。 ロキソニンを服用しているときに一緒に服用してはいけない薬は以下のものです。 他の解熱鎮痛薬 かぜ薬 鎮静薬 そして併用に注意する薬は以下のものです。 クマリン系抗凝血剤:  ワルファリン スルホニル尿素系血糖降下剤: トルブタミド等 ニューキノロン系抗菌剤: エノキサシン水和物等 メトトレキサート リチウム製剤: 炭酸リチウム チアジド系利尿薬:  ヒドロフルメチアジド、ヒドロクロロチアジド等 降圧剤: ACE阻害剤 アンジオテンシンII受容体拮抗剤等 不安な点は医師や薬剤師に相談しましょう。 以下、詳しく説明していきます。 相互作用(飲み合わせに注意する薬) まず、処方薬と市販薬の添付文書(薬の説明書)を見ていきましょう。 一般的な錠剤の、処方薬である「ロキソニン錠60mg」と市販薬である「ロキソニンS」は同じものです。 詳しくは【ロキソニン】処方薬と市販薬(一般薬)の違いは?どちらが安い?をご覧ください。 市販薬の添付文書の記載は? 市販薬である「ロキソニンS」の添付文書には、「使用上の注意」の「してはいけないこと(守らないと現在の症状が悪化したり,副作用が起こりやすくなります)」の項目に以下の記載があります。 本剤を服用している間は,次のいずれの医薬品も服用しないで下さい。  他の解熱鎮痛薬,かぜ薬,鎮静薬 出典:「ロキソニンS」添付文書 つまり、ロキソニンを服用しているときは 他の解熱鎮痛薬 かぜ薬 鎮静薬 を服用してはいけない、ということです。 ロキソニンと同じような作用の薬を服用すると、 作用が重なって作用が強く出すぎたり(熱が下がりすぎる等)、 副作用が強くでてしまう ことが考えられます。 ロキソニンを服用するときは、他に服用している薬がないか確認しましょう。ロキソニンと併用して大丈夫かどうか分からないときは医師や薬剤師に相談しましょう。 処方薬の添付文書の記載は? 処方薬である「ロキソニン錠60mg/ロキソニン細粒10%」の添付文書には、ロキソニンの相互作用(飲み合わせ)について以下のように書かれています。 相互作用 併用注意(併用に注意すること) 1. 薬剤名等 クマリン系抗凝血剤   ワルファリン 臨床症状・措置方法 その抗凝血作用を増強するおそれがあるので注意し、必要があれば減量すること。 機序・危険因子 本剤のプロスタグランジン生合成抑制作用により血小板凝集が抑制され血液凝固能が低下し、その薬剤の抗凝血作用に相加されるためと考えられている。 2. 薬剤名等 スルホニル尿素系血糖降下剤   トルブタミド等 臨床症状・措置方法 その血糖降下作用を増強するおそれがあるので注意し、必要があれば減量すること。 機序・危険因子 本剤のヒトでの蛋白結合率は、ロキソプロフェンで97.0%、trans-OH体で92.8%と高く、蛋白結合率の高い薬剤と併用すると血中に活性型の併用薬が増加し、その薬剤の作用が増強されるためと考えられている。 3. 薬剤名等 ニューキノロン系抗菌剤   エノキサシン水和物等 臨床症状・措置方法 その痙攣誘発作用を増強することがある。 機序・危険因子 ニューキノロン系抗菌剤は、中枢神経系の抑制性神経伝達物質であるGABAの受容体への結合を阻害し、痙攣誘発作用を起こす。本剤の併用によりその阻害作用を増強するためと考えられている。 4. 薬剤名等 メトトレキサート 臨床症状・措置方法 血中メトトレキサート濃度を上昇させ、その作用を増強することがあるので、必要があれば減量すること。 機序・危険因子 機序は不明であるが、本剤の腎におけるプロスタグランジン生合成抑制作用により、これらの薬剤の腎排泄が減少し血中濃度が上昇するためと考えられている。 5. 薬剤名等 リチウム製剤   炭酸リチウム 臨床症状・措置方法 血中リチウム濃度を上昇させ、リチウム中毒を起こすことがあるので血中のリチウム濃度に注意し、必要があれば減量すること。 機序・危険因子 機序は不明であるが、本剤の腎におけるプロスタグランジン生合成抑制作用により、これらの薬剤の腎排泄が減少し血中濃度が上昇するためと考えられている。 6. 薬剤名等 チアジド系利尿薬   ヒドロフルメチアジド、ヒドロクロロチアジド等 臨床症状・措置方法 その利尿・降圧作用を減弱するおそれがある。 機序・危険因子 本剤の腎におけるプロスタグランジン生合成抑制作用により、水、ナトリウムの排泄を減少させるためと考えられている。 7. 薬剤名等 降圧剤   ACE阻害剤   アンジオテンシンII受容体拮抗剤等 臨床症状・措置方法 その降圧作用を減弱するおそれがある。 機序・危険因子 本剤のプロスタグランジンの生合成抑制作用により、これらの薬剤の降圧作用を減弱させる可能性がある。 8. 薬剤名等 降圧剤   ACE阻害剤   アンジオテンシンII受容体拮抗剤等 臨床症状・措置方法 腎機能を悪化させるおそれがある。 機序・危険因子 本剤のプロスタグランジンの生合成抑制作用により、腎血流量が低下するためと考えられる。 出典:「ロキソニン錠60mg/ロキソニン細粒10%」添付文書 ロキソニンを服用する際、併用に注意する薬は整理すると以下のようになります。 クマリン系抗凝血剤:  ワルファリン スルホニル尿素系血糖降下剤: トルブタミド等 ニューキノロン系抗菌剤: エノキサシン水和物等 メトトレキサート リチウム製剤: 炭酸リチウム チアジド系利尿薬:  ヒドロフルメチアジド、ヒドロクロロチアジド等 降圧剤: ACE阻害剤 アンジオテンシンII受容体拮抗剤等 これらの薬を飲んでいてロキソニンを服用する場合、医師や薬剤師に相談するようにしましょう。 ロキソニンと併用注意の薬について、それぞれ説明していきます。 クマリン系抗凝血剤: ワルファリン ワルファリン(ワーファリン)は血液を固めるのを防ぐ薬で、心筋梗塞の予防などに用いられます。 ロキソニンとワルファリンを併用すると、ワルファリンの抗凝血作用(血液を固めるのを防ぐ作用)が強くなるおそれがあります。 ワルファリンの抗凝血作用が強くなると、出血しやすくなるといった副作用が出やすくなります。 ロキソニンがワルファリンの抗凝血作用を強めるしくみ ロキソニンはプロスタグランジンの生成を抑えることで作用を発揮します。 プロスタグランジンには痛みを強める作用がありますが、血小板を凝集させる作用(血液を固める作用)もあります。 そのため、ロキソニンによってプロスタグランジンの生成が抑えられると、ワルファリンの抗凝血作用(血液を固めるのを防ぐ作用)が強くなると考えられています。 ロキソニンの作用機序などについては【解熱鎮痛薬】ロキソニン®(ロキソプロフェン)【NSAIDs】で説明しています。 スルホニル尿素系血糖降下剤: トルブタミド等 スルホニル尿素系血糖降下剤は「スルホニル尿素(SU)剤」のことで、血糖値を下げる薬であり、糖尿病に用いられます。 糖尿病でSU剤を服用している場合、ロキソニンとの併用に注意する必要があります。 SU剤は以下のようなものがあります。 SU剤 アマリール®(グリメピリド) ダオニール®(グリベンクラミド) オイグルコン®(グリベンクラミド) グリミクロン®(グリクラジド) ヘキストラスチノン®(トルブタミド) ロキソニンはSU剤の血糖降下作用を強めるおそれ ロキソニンとSU剤を併用すると、SU剤の血糖降下作用を強めるおそれがあります。 SU剤の作用が強く出て血糖値を下げすぎると、恐ろしい低血糖といった副作用が出る場合があります。 専門的になりますが、ロキソニン(ロキソプロフェン)はタンパク結合率が高く、併用するとSU剤の非結合型が増えるため作用が強くなると考えられています(添付文書参照)。 ニューキノロン系抗菌剤:エノキサシン水和物等 ニューキノロン系抗菌剤は感染症などに用いられる抗生物質で、以下のようなものがあります。 ノルフロキサシン(バクシダール®) レボフロキサシン(クラビット®) オフロキサシン(タリビット®) シタフロキサシン(グレースピット®) エノキサシン(フルマーク®) 塩酸シプロフロキサシン(シプロキサン®) トスフロキサシントシル酸塩(オゼックス®) ロキソニン+ニューキノロン系で痙攣誘発のおそれ ロキソニンをニューキノロン系と併用すると、ニューキノロン系の痙攣誘発作用を強めるおそれがあります。 ニューキノロン系抗菌剤は、中枢神経系の抑制性神経伝達物質であるGABAの受容体への結合を阻害し、痙攣誘発作用を起こす。本剤の併用によりその阻害作用を増強するためと考えられている。 出典:「ロキソニン錠60mg/ロキソニン細粒10%」添付文書 メトトレキサート メトトレキサート(リウマトレックス®)は葉酸代謝拮抗薬であり、免疫抑制薬という種類の薬です。 メトトレキサートはリウマチなどに用いられ、炎症を抑える薬です。 ロキソニン併用でメトトレキサートの作用増強のおそれ ロキソニンを併用することでメトトレキサートの血中濃度が上がり、作用を増強するおそれがあります。 機序は不明であるが、本剤の腎におけるプロスタグランジン生合成抑制作用により、これらの薬剤の腎排泄が減少し血中濃度が上昇するためと考えられている。 出典:「ロキソニン錠60mg/ロキソニン細粒10%」添付文書 リチウム製剤:炭酸リチウム 炭酸リチウムは抗うつ薬であり、気分を安定させるため、うつなどに用いられます。 ロキソニン併用でリチウム中毒のおそれ ロキソニンを併用することでリチウムの血中濃度が上がり、リチウム中毒をおこすおそれがあります。 機序は不明であるが、本剤の腎におけるプロスタグランジン生合成抑制作用により、これらの薬剤の腎排泄が減少し血中濃度が上昇するためと考えられている。 出典:「ロキソニン錠60mg/ロキソニン細粒10%」添付文書 チアジド系利尿薬: ヒドロフルメチアジド、ヒドロクロロチアジド等 チアジド系利尿薬は尿をたくさん出すようにする薬で、血圧を下げたりするのに用いられます。 チアジド系利尿薬は次のようなものがあります。 フルイトラン(トリクロルメチアジド) ヒドロクロロチアジド、べハイド(ベンチルヒドロクロロチアジド) ロキソニンの併用で利尿・降圧作用を弱めるおそれ ロキソニンを併用すると、チアジド系利尿薬の利尿・降圧作用を弱めるおそれがあります。 機序・危険因子本剤の腎におけるプロスタグランジン生合成抑制作用により、水、ナトリウムの排泄を減少させるためと考えられている。 出典:「ロキソニン錠60mg/ロキソニン細粒10%」添付文書 降圧剤:ACE阻害剤、アンジオテンシンII受容体拮抗剤等 ACE阻害薬、アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)は血圧を下げる薬で、高血圧症などに用いられています。 ロキソニンの併用で降圧作用を弱めるおそれ ロキソニンを併用すると、ACE阻害薬、アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)の降圧作用が弱くなるおそれがあります。 本剤のプロスタグランジンの生合成抑制作用により、これらの薬剤の降圧作用を減弱させる可能性がある。 出典:「ロキソニン錠60mg/ロキソニン細粒10%」添付文書 ロキソニンの併用で腎機能悪化のおそれ ロキソニンを併用すると、腎機能が悪化するおそれがあります。 本剤のプロスタグランジンの生合成抑制作用により、腎血流量が低下するためと考えられる。 出典:「ロキソニン錠60mg/ロキソニン細粒10%」添付文書 まとめ ロキソニンを服用するとき、飲み合わせに注意すべき薬をまとめておきます。 他の解熱鎮痛薬 かぜ薬 鎮静薬 クマリン系抗凝血剤:  ワルファリン スルホニル尿素系血糖降下剤: トルブタミド等 ニューキノロン系抗菌剤: エノキサシン水和物等 メトトレキサート リチウム製剤: 炭酸リチウム チアジド系利尿薬:  ヒドロフルメチアジド、ヒドロクロロチアジド等 降圧剤: ACE阻害剤 アンジオテンシンII受容体拮抗剤等 不明な点があれば医師や薬剤師に相談するようにしましょう。 ロキソニンの市販薬 最後に、ドラッグストアなどで市販薬として買えるロキソニンを紹介します。 ロキソニンは「第一類医薬品」という部類の薬なので、薬剤師がいないと買えません。 インターネットでも購入できますが、文書での情報提供をしっかり受ける必要があります。インターネットで購入する場合は、本来なら直接薬剤師から情報提供を受けるべきことを覚えておきましょう。 ロキソニンS 【第1類医薬品】ロキソニンS(セルフメディケーション税制対象)(12錠)【hl_mdc1216_loxonin】【ロキソニン】 posted with カエレバ   楽天市場   シンプルにロキソプロフェンが入っている「ロキソニンS」です。 ロキソニンSプラス 【第1類医薬品】ロキソニンSプラス(セルフメディケーション税制対象)(12錠)【hl_mdc1216_loxonin】【ロキソニン】 posted with カエレバ   楽天市場   「ロキソニンSプラス」にはロキソプロフェンのほか、胃を守る成分として「酸化マグネシウム」が入っています。 ロキソニンSプレミアム 【第1類医薬品】ロキソニンSプレミアム(セルフメディケーション税制対象)(24錠)【ロキソニン】 posted with カエレバ   楽天市場   「ロキソニンSプラス」にはロキソプロフェンのほか、 アリルイソプロピルアセチル尿素:鎮痛効果を高める 無水カフェイン:鎮痛効果を補助する メタケイ酸アルミン酸マグネシウム:胃を守る このような成分が加えられています。 楽天市場では購入できるようです。リンクからチェックしてみてください! 関連 ロキソニン(ロキソプロフェン)に関する記事を紹介します。 ぜひご覧下さい。