• ARB(アンギオテンシンⅡ受容体拮抗薬)
  • ACE(アンギオテンシン変換酵素)阻害薬

これらの薬の副作用に、高カリウム血症があります。これらの薬が高カリウム血症を引き起こすしくみを簡単にまとめておきます。

高カリウム血症を引き起こす機序

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流れをまとめるとこのようになります。

ARB、ACE阻害薬が高カリウム血症を引き起こす機序
RAA系阻害
→ アルドステロン↓
→ カリウムの排泄↓
→ 高カリウム血症

ARB、ACE阻害薬の作用は、ともにRAA(レニン・アンギオテンシン・アルドステロン)系の阻害です。

RAA系が阻害されると、アルドステロンの分泌が抑制されます。
(アンジオテンシンⅡは副腎皮質球状帯に作用 → アルドステロン分泌↑)

するとアルドステロンの血中濃度低下により、カリウムの体外への排泄が抑制され、体内にカリウムがたまることで高カリウム血症を引き起こします。

アルドステロンについて

アルドステロンは副腎皮質の球状帯から分泌されるホルモンで、鉱質コルチコイドの1つです。

アルドステロンの分泌機序
アンジオテンシンⅡが副腎皮質球状帯に作用
→ アルドステロン分泌↑

このように、アンジオテンシンⅡによりアルドステロンは分泌されます。

アルドステロンの作用
アルドステロンがNa+/K+交換系に作用
→ Na+吸収↑、K+排出↑

このように、アルドステロンの作用により腎でのNa+/K+交換系が高まり、ナトリウムの再吸収が促進し、カリウムの排出が促進されます。

つまり、アルドステロンが分泌されることでカリウム排出が促進され、アルドステロンの減少によりカリウムが体内にたまること(高カリウム血症)になります。

よって、RAA系阻害によりアルドステロンの分泌が減少するとカリウム排出が抑制され、血中のカリウム濃度が高くなり、高カリウム血症になります。

まとめ

まとめ
  • RAA系 → アルドステロン↑ → カリウムでていく
  • RAA系阻害 → アルドステロン↓  → カリウムたまる → 高カリウム血症

このように、ARBやACE阻害薬によってRAA系を抑制することで副作用の高カリウム血症が起こります。

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