受容体1 説明つき

受容体(Receptor)とは、細胞膜表面細胞質、または核内に存在し、特定の物質(リガンド)と結合することで細胞にシグナルを伝え、応答を起こすタンパク質である。

受容体(Receptor)というように、受容体はリガンド(情報伝達物質)を受け取る(receive:受容する)タンパク質である。レセプター、リセプターとも呼ばれる。

受容体は、細胞のシグナルを細胞に伝える仲介役ともいえる。

ちなみに、外界や体内から刺激を受け取る器官(目など)・細胞(においを受け取る嗅細胞など)も受容体と呼ばれる。

受容体の種類

受容体の種類はたくさんある。受容体が存在する場所により、次の2つに大別できる。

  1. 細胞膜受容体 : 細胞膜に存在する
  2. 細胞内受容体(核内受容体) : 細胞内に存在する

細胞表面に顔を出しており、細胞膜上に存在するタイプと、
細胞の中の細胞質や核内に存在するタイプの2つである。

さらに、それぞれで構造や働きの違いで次のように分類される。

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受容体とは?味覚を例に

受容体について分かりやすいように、味覚を例に出す。

塩をなめると、しょっぱいと感じる。これは、舌にある受容体が塩を受け取り、その情報を脳へ伝えているからである。その結果、塩味として感じるのである。

この例では、特定の物質というのは「塩」であり、情報というのは「受容体が塩を認識した」となる。そして「塩味を感じる」という生理現象が起きている。

受容体は、このように特定の物質と結合することでその物質の情報を伝え、生理的な反応を誘起する。

受容体の特徴

受容体の特徴としては、リガンド(情報伝達物質)と特異的に結合することが挙げられる。

特異的に」結合するというのは、特定の物質とだけ結合するということである。

リガンドある受容体に対して特異的に結合する物質

薬の場合であれば、
リガンド=薬物分子となり、受容体が薬物分子を受け取り、その情報を伝えた結果、効果が表れる。
このようになる。

受容体の意義は?花粉症を例に

受容体と抗ヒスタミン薬

受容体というのは、薬を考える上でとても重要である。それ以前に、すべての生理現象を考える上でとても重要である。

身近な例を出せば、花粉症も受容体が関わっている。

花粉症では、ヒスタミンという物質がキーポイントになる。ヒスタミンは体内の生理活性物質で、アレルギーに関わる。

花粉症の人は、花粉に反応して、ヒスタミンが放出される。このヒスタミンが、ヒスタミンを受けとる受容体(ヒスタミン受容体)に結合することで、生体反応が起き、鼻水ズリズリになる。

つまり花粉症では、ヒスタミンというリガンドがヒスタミン受容体を刺激することで症状を引き起こす

ここで、ヒスタミンが受容体に結合するのを防げば、鼻水ズリズリにならないのではないかと考えられる。

ヒスタミンと受容体の結合を阻害できるものはなにか?それがである。

花粉症の薬は、ヒスタミンの代わりに受容体に結合し、ヒスタミンを遮断することで症状を抑える。

このように、受容体は生体反応や薬と深い関わりがある。受容体を知ることで、薬や体の理解を深めることができる

生体反応や、薬の作用機序(どのようにして効くのか)を考える上で、受容体の理解は欠かせない。

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孤児受容体(orphan receptor)の存在

受容体には、内因性リガンドが不明の受容体が多数存在するという。

そのような、「リガンドが特定されていない受容体」のことを、
孤児受容体オーファン受容体)という。

つまり、
「こんな受容体が見つかったけど、それに結合する物質がわからないんだよね」
というような受容体のことである。