気管支ぜん息とは、気道粘膜の慢性炎症性疾患で可逆性の気道狭窄と気道過敏性亢進が生じ、その結果、気道狭窄による咳とぜん鳴を伴った発作性の呼吸困難を繰り返す病態である。

また、長期罹患した患者では、気道上皮基底膜直下の線維化、平滑筋の肥厚粘膜下腺の過形成などからなる気道のリモデリングが見られ、非可逆的な気流制限と持続的な気道過敏性の冗進をもたらし、ぜん息が難治化すると考えられている。

分類

気管支喘息の誘因による分類としては、外因型(アトピー型)と内因型(非アトピー型)がある。

  • 外因型(アトピー型)
  • 内因型(非アトピー型)

外因型(アトピー型)

  • 好発年齢:
    • 小児期(10歳以下)
    • 男児は女児に比べ発症率が高い
  • 特徴:
    • アレルゲンが明らかで、遺伝的素因が強い(アレルゲンとしてはハウスダストやダニが多い)
    • I型アレルギー反応に伴うことが多い

 

内因型(非アトピー型)

  • 好発年齢:成人期(40歳以上)
  • 特徴:
    • アレルゲンが不明
    • 遺伝的な素因は少ない
    • ウイルス感染、温度変化などの要因が示唆されている

病態生理

気道の可逆性閉塞性変化については、気道分泌物の粘稠化、粘液栓、気道粘膜の浮腫などが関係する。

ぜん息発作反応:即時型と遅発型

ぜん息発作反応は、即時型と遅発型の2つがある。

  • 即時型反応
    • 抗原吸入10分後位にぜん息反応が起き、3時間位で消える
    • 主に肥満細胞や好塩基球が関与するI型アレルギーによって生じる
    • 気道狭窄などの可逆性変化を引き起こす
  • 遅発型反応
    • 抗原吸入後3~4時間後にぜん息反応が起き、1日位続く
    • 主に好酸球が気道粘膜に浸潤し、好酸球から遊離する
      PAF、LTD4、LTC4等が同反応を惹起する
    • 気道粘膜の損傷と慢性炎症を起こし、気道を過敏にする

薬剤によるぜん息発作:アスピリン喘息

  • アスピリンぜん息
    • 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の投与により、好酸球やロイコトリエンの生成が高まり生じるぜん息様発作の総称
    • アスピリンぜん息患者の解熱・鎮痛にはアスピリンやメフェナム酸などのNSAIDsの投与は禁忌
  • β受容体遮断薬
    • 気管支平滑筋のβ2受容体を遮断することにより気管支平滑筋を収縮させるため、ぜん息様発作が起こる

症状

  • 発作性呼吸困難
    • ぜん鴫を伴う呼気性呼吸困難
    • 発作は深夜~早朝に多い
    • 秋>春>冬>夏の順に多い(季節の変わり目に多い)
  • 重症時
    • 起坐呼吸
    • チアノーゼ:酸素不足により、末梢循環不全が生じる

検査

検査には呼吸機能検査、血液検査などがある。

呼吸機能検査は、ぜん息の診断や治療方針の決定、治療経過判定のための客観的なデータとして、極めて重要である。

  • 血液検査外因型:ぜん息では好酸球、IgEが高値(内因型では正常)
  • 喀痰:好酸球増多
  • アレルゲン検査
    • 即時型反応の検索
      • スクラッチテスト:抗原液を皮膚に滴下して、針で皮膚を掻きとる
      • 皮内テスト;抗原液を皮内注射し、約20分後に判定する
    • 遅延型反応の検索
      • 貼付試験(パッチテスト) :抗原物質を皮膚に貼付する
  • 動脈血ガス分析
    • 重症例では肺胞換気の低下による呼吸性アシドーシスが認められる
    • PaCO2上昇
  • 呼吸機能検査
    • 発作時1秒率低下
    • 発作時1秒量低下
    • 発作時ピークフロー(PEF)値低下

治療

気管支ぜん息の薬物療法では、発作性呼吸困難を緩和させる発作治療薬(リリーバー)と長期管理薬(コントローラー)を区別することが大切である。

また、同じ治療薬であっても製剤形態や投与経路によりその用途が異なるため、注意が必要である。

効果の指標:ピークフロー値

また、治療薬の効果の判定にはピークフロー値が有用である。

ぜん息患者の管理においてはビークフロー値を1日2回(起床時及び就寝前)毎日測定する必要がある。

発作治療薬

発作による呼吸困難を改善することを目的として用いられる。

発作の重症度によって薬剤の使い方が異なる。

  • β2受容体刺激薬(吸入)
    短時間作用型

  • アドレナリン(皮下注)
  • キサンチン誘導体
    • アミノフィリン
  • 副腎皮質ステロイド性薬(静注)
    • ヒドロコルチゾン
    • プレドニゾロン
    • デキサメタゾン
  • 抗コリン薬(吸入)
    • イプラトロピウム
    • オキシトロピウム

発作の重症度による薬剤の使い方

以下の重症度(軽度、中等度、高度、重篤)により、検査値を参考に治療薬を選択する。

  • 検査値
    • PEF:ピークフロー
    • SpO2 :血中酸素飽和度
    • PaO2 :酸素分圧
    • PaCO2 :炭酸ガス分圧

軽度

  • 治療薬
    • β2受容体刺激薬(吸入)
  • 検査値
    • PEF:80%以上
    • SPO2 :96%以上
    • PaO2 :正常
    • PaCO2 :45 mmHg未満

中等度

  • 治療薬
    • β2受容体刺激薬(吸入)
    • アドレナリン(皮下注)
    • アミノフィリン(静注)
    • 副腎皮質ステロイド性薬(静注)
    • 酸素吸入
    • 抗コリン薬(吸入)
  • 検査値
    • PEF:60~80%
    • SPO2 :91~95%
    • PaO2 :60mmHg以上
    • PaCO2 :45mmHg未満

高度

  • 治療薬
    • アドレナリン(皮下注)
    • アミノフィリン(静注)
    • 副腎皮質ステロイド性薬(静注)
    • 酸素吸入
  • 検査値
    • PEF:60%未満
    • SPO2 :90%以下
    • PaO2 :60mmHg以下
    • PaCO2 :45mmHg以上

重篤

  • 治療薬
    • 上記の治療を継続
    • 改善が認められない場合には気管挿管及び人工呼吸管理などを行う
  • 検査値
    • PEF:測定不能
    • SPO2 :90%以下
    • PaO2 :60mmHg以下
    • PaCO2 :45mmHg以上

長期管理薬

長期管理薬の使用はぜん息発作の予防、及び呼吸機能の正常化とその維持を図ることが目的である。

症状の有無にかかわらず、毎日規則正しく使用する。

  • β2受容体刺激薬
    • サルメテロール(吸入)
    • サルブタモール(経口)
    • ブロカテロール(経口)
    • ツロブテロール(貼付)
  • キサンチン誘導体(経口)
    • テオフィリン製剤
  • 副腎皮質ステロイド性薬(吸入)
    • ベクロメタゾン
    • フルチカゾン
    • ブデソニド
  • 抗アレルギー薬
    • ケトチフェン
    • エピナスチン
    • プランルカスト
    • セラトロダスト
    • オザグレル塩酸塩
    • スプラタスト
  • 合剤
    • サルメテロール+フルチカゾン(吸入)