【ロキソニン】副作用はどんな症状?予防法・対策は?【添付文書からすべて】
解熱鎮痛薬としてよく使われる「ロキソニン(ロキソプロフェン)」ですが、「副作用のない薬はない」と言われるように、ロキソニンにも副作用はあります。
最初に主な副作用を挙げると、以下のようなものがあります(添付文書より)。
- 消化器症状(胃部不快感、腹痛、悪心・嘔吐、食欲不振等2.25%)
- 浮腫・むくみ(0.59%)
- 発疹・蕁麻疹等(0.21%)
- 眠気(0.10%)
しかし、症状にあわせて正しく使えば、重篤な副作用はめったに起こるものではありません。
この記事では、ロキソニンの副作用に焦点を絞ってわかりやすくまとめています。
ロキソニン(ロキソプロフェン)の知っておきたい全体的なことは【解熱鎮痛薬】ロキソニン®(ロキソプロフェン)【NSAIDs】で詳しく説明しています。
処方薬の添付文書に書かれているすべての副作用
法的に唯一有効な医薬品の添付文書。
医療用の処方薬「ロキソニン錠60mg/ロキソニン細粒10%」の添付文書を引用しつつ、副作用についてまとめておきます。
ロキソニンの主な副作用:消化器症状やむくみなど
処方薬ロキソニン(ロキソプロフェン)の主な副作用については、添付文書に以下のように書かれています。
副作用
副作用等発現状況の概要
- (本項には頻度が算出できない副作用報告を含む。)
総症例13,486例中副作用の報告されたものは409例(3.03%)であった。その主なものは、消化器症状(胃部不快感、腹痛、悪心・嘔吐、食欲不振等2.25%)、浮腫・むくみ(0.59%)、発疹・蕁麻疹等(0.21%)、眠気(0.10%)等が報告されている。
〔再審査終了時1)及び効能追加時2〜7)〕
整理するとこのようになります。
- 総症例13,486例中副作用の報告されたものは409例(3.03%)
主な副作用は、
- 消化器症状(胃部不快感、腹痛、悪心・嘔吐、食欲不振等2.25%)
- 浮腫・むくみ(0.59%)
- 発疹・蕁麻疹等(0.21%)
- 眠気(0.10%) など
添付文書からもわかるように、ロキソニンの主な副作用は腹痛といった「消化器症状」です。胃腸障害ともいいます。
胃腸障害(2.25%)
添付文書の調査報告では、2.25%の人に「胃腸障害」が認められているようです。
【解熱鎮痛薬】ロキソニン®(ロキソプロフェン)【NSAIDs】の「作用機序」の項目で説明していますが、ロキソニンは痛みを強めるプロスタグランジンの生成をおさえることで効果を発揮します。
プロスタグランジンは痛みを強める作用のほか、胃粘膜を保護する作用もあります。
そのため、ロキソニンによってプロスタグランジンがおさえられることで胃粘膜保護作用が弱くなり、副作用として胃腸障害になる場合があります。胃腸薬があわせて処方されるのは、このためです。
胃腸が弱い人や消化潰瘍の人がロキソニンを服用する場合は、注意が必要です。
浮腫・むくみ(0.59%)
報告では、0.59%の人に「浮腫・むくみ」が認められているようです。
そのため、ロキソニンを服用してもしむくみがでたらすぐにやめるか、医師や薬剤師に相談するようにしましょう。
発疹・蕁麻疹等(0.21%)
報告では、0.21%の人に「発疹・蕁麻疹など」が認められているようです。
そのため、ロキソニンを服用してもし皮膚が赤くなったりしたらすぐにやめるか、医師や薬剤師に相談するようにしましょう。
眠気(0.10%):ロキソニンを飲むと眠くなるのか?
報告では、0.10%の人に「眠気」が認められているようです。そのため、ロキソニンを飲んでも絶対に眠くならない、とは言えません。
市販薬「ロキソニンS」の添付文書には、「眠くなる成分(鎮静催眠成分)を含みません。」と書かれています。
ちなみに市販薬「ロキソニンSプレミアム」には有効成分ロキソプロフェンのほか、「無水カフェイン」が配合されており、眠気を防ぐことが期待されます。
ロキソニンの重大な副作用
ロキソニン(ロキソプロフェン)の重大な副作用としては、以下が挙げられています。
重大な副作用
1. ショック、アナフィラキシー様症状(頻度不明)
ショック、アナフィラキシー様症状(血圧低下、蕁麻疹、喉頭浮腫、呼吸困難等)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。2. 無顆粒球症、溶血性貧血、白血球減少、血小板減少(頻度不明)
無顆粒球症、溶血性貧血、白血球減少、血小板減少があらわれることがあるので、血液検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。3. 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(頻度不明)
中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。4. 急性腎不全、ネフローゼ症候群、間質性腎炎(頻度不明)
急性腎不全、ネフローゼ症候群、間質性腎炎があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、急性腎不全に伴い高カリウム血症があらわれることがあるので、特に注意すること。5. うっ血性心不全(頻度不明)
うっ血性心不全があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。6. 間質性肺炎(頻度不明)
発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線異常、好酸球増多等を伴う間質性肺炎があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には直ちに投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。7. 消化管出血(頻度不明)
重篤な消化性潰瘍又は小腸、大腸からの吐血、下血、血便等の消化管出血が出現し、それに伴うショックがあらわれることがあるので、観察を十分に行い、これらの症状が認められた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。8. **消化管穿孔(頻度不明)
消化管穿孔があらわれることがあるので、心窩部痛、腹痛等の症状が認められた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。9. **小腸・大腸の狭窄・閉塞(頻度不明)
小腸・大腸の潰瘍に伴い、狭窄・閉塞があらわれることがあるので、観察を十分に行い、悪心・嘔吐、腹痛、腹部膨満等の症状が認められた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。10. 肝機能障害、黄疸(頻度不明)
肝機能障害(黄疸、AST(GOT)上昇、ALT(GPT)上昇、γ-GTP上昇等)、劇症肝炎があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には中止するなど適切な処置を行うこと。11. 喘息発作(頻度不明)
喘息発作等の急性呼吸障害があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、本剤の投与を直ちに中止し、適切な処置を行うこと。12. 無菌性髄膜炎(頻度不明)
無菌性髄膜炎(発熱、頭痛、悪心・嘔吐、項部硬直、意識混濁等)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。(特にSLE又はMCTDの患者に発現しやすい。)13. 横紋筋融解症(頻度不明)
横紋筋融解症があらわれることがあるので、観察を十分に行い、筋肉痛、脱力感、CK(CPK)上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇等が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、横紋筋融解症による急性腎不全の発症に注意すること。
重大な副作用(類薬)
再生不良性貧血他の非ステロイド性消炎鎮痛剤で、再生不良性貧血があらわれるとの報告がある。
上記のような重大な副作用はめったに起きませんが、ロキソニンを服用して万が一体調に違和感を感じたら服用をやめ、医師や薬剤師に相談するようにしてください。
ロキソニンのその他の副作用
ロキソニンのその他の副作用としては、以下が挙げられています。
その他の副作用
- 1. 過敏症注)
- 0.1〜1%未満
- 発疹
- 2. 過敏症注)
- 0.05〜0.1%未満
- そう痒感
- 3. 過敏症注)
- 0.05%未満
- 蕁麻疹
- 4. 過敏症注)
- 頻度不明
- 発熱
- 5. 消化器
- 0.1〜1%未満
- 腹痛、胃部不快感、食欲不振、悪心・嘔吐、下痢
- 6. 消化器
- 0.05〜0.1%未満
- 消化性潰瘍注)、便秘、胸やけ、口内炎
- 7. 消化器
- 0.05%未満
- 消化不良
- 8. **消化器
- 頻度不明
- 口渇、腹部膨満、小腸・大腸の潰瘍注)
- 9. 循環器
- 0.05%未満
- 動悸
- 10. 循環器
- 頻度不明
- 血圧上昇
- 11. 精神神経系
- 0.1〜1%未満
- 眠気
- 12. 精神神経系
- 0.05%未満
- 頭痛
- 13. 精神神経系
- 頻度不明
- しびれ、めまい
- 14. 血液
- 0.05%未満
- 貧血、白血球減少、好酸球増多
- 15. 血液
- 頻度不明
- 血小板減少
- 16. 肝臓
- 0.1〜1%未満
- AST(GOT)上昇、ALT(GPT)上昇
- 17. 肝臓
- 0.05%未満
- ALP上昇
- 18. **泌尿器
- 頻度不明
- 血尿、蛋白尿、排尿困難
- 19. その他
- 0.1〜1%未満
- 浮腫
- 20. その他
- 0.05%未満
- 顔面熱感
- 21. その他
- 頻度不明
- 胸痛、倦怠感
- 注)投与を中止すること。
市販薬の添付文書に書かれているすべての副作用
上記に示した副作用は、医療用の処方薬「ロキソニン錠60mg/ロキソニン細粒10%」の添付文書から引用したものでした。
処方薬のロキソニンと市販薬の「ロキソニンS」などは、有効成分のロキソプロフェンやその量は基本的に同じです。
そのため、副作用なども変わりがないと思われますが、市販薬「ロキソニンS」の添付文書に書かれている副作用についても参照しておきます。
市販薬の「副作用」はどう書かれているのか?
市販薬「ロキソニンS」の添付文書には以下のように示されています。
(1)本剤のような解熱鎮痛薬を服用後,過度の体温低下,虚脱(力が出ない),四肢冷却(手足が冷たい)等の症状があらわれた場合
(2)服用後,消化性潰瘍,むくみがあらわれた場合
また,まれに消化管出血(血を吐く,吐き気・嘔吐,腹痛,黒いタール状の便,血便等があらわれる),消化管穿孔(消化管に穴があくこと。吐き気・嘔吐,激しい腹痛等があらわれる),小腸・大腸の狭窄・閉塞(吐き気・嘔吐,腹痛,腹部膨満等があらわれる)の重篤な症状が起こることがあります。その場合は直ちに医師の診療を受けて下さい。(3)服用後,次の症状があらわれた場合
[関係部位:症状]
皮膚:発疹・発赤,かゆみ
消化器:腹痛,胃部不快感,食欲不振,吐き気・嘔吐,腹部膨満,胸やけ,口内炎,消化不良
循環器:血圧上昇,動悸
精神神経系:眠気,しびれ,めまい,頭痛
その他:胸痛,倦怠感,顔面のほてり,発熱,貧血,血尿出典:「ロキソニンS」添付文書
ロキソニンの服用後、上記のような症状がでたら副作用かもしれません。すぐに飲むのをやめ、説明文書を持って医師や薬剤師に相談してください。
市販薬の「重大な副作用」はどう書かれているのか?
また、「重大な副作用」については以下のように示されています。
[症状の名称:症状]
ショック(アナフィラキシー):
服用後すぐに,皮膚のかゆみ,じんましん,声のかすれ,くしゃみ,のどのかゆみ,息苦しさ,動悸,意識の混濁等があらわれる。血液障害:
のどの痛み,発熱,全身のだるさ,顔やまぶたのうらが白っぽくなる,出血しやすくなる(歯茎の出血,鼻血等),青あざができる(押しても色が消えない)等があらわれる。皮膚粘膜眼症候群(スティーブンス・ジョンソン症候群):
高熱,目の充血,目やに,唇のただれ,のどの痛み,皮膚の広範囲の発疹・発赤等が持続したり,急激に悪化する。中毒性表皮壊死融解症:
高熱,目の充血,目やに,唇のただれ,のどの痛み,皮膚の広範囲の発疹・発赤等が持続したり,急激に悪化する。腎障害:
発熱,発疹,尿量の減少,全身のむくみ,全身のだるさ,関節痛(節々が痛む),下痢等があらわれる。うっ血性心不全:
全身のだるさ,動悸,息切れ,胸部の不快感,胸が痛む,めまい,失神等があらわれる。間質性肺炎:
階段を上ったり,少し無理をしたりすると息切れがする・息苦しくなる,空せき,発熱等がみられ,これらが急にあらわれたり,持続したりする。肝機能障害:
発熱,かゆみ,発疹,黄疸(皮膚や白目が黄色くなる),褐色尿,全身のだるさ,食欲不振等があらわれる。横紋筋融解症:
手足・肩・腰等の筋肉が痛む,手足がしびれる,力が入らない,こわばる,全身がだるい,赤褐色尿等があらわれる。無菌性髄膜炎:
首すじのつっぱりを伴った激しい頭痛,発熱,吐き気・嘔吐等があらわれる。(このような症状は,特に全身性エリテマトーデス又は混合性結合組織病の治療を受けている人で多く報告されている)ぜんそく:
息をするときゼーゼー,ヒューヒューと鳴る,息苦しい等があらわれる。出典:「ロキソニンS」添付文書
まれに、上記のような症状がでることがあります。この場合はすぐに医師の診療を受けてください。
胃腸障害の対策
ロキソニンの副作用である胃腸障害の対策としては、
- 空腹を避けてロキソニンを飲む(飲む時はなにか飲食する)
- 食後すぐに飲む
- 多めの水やお湯(コップ1杯)で飲む
- 胃腸の粘膜を守る薬を一緒に服用する
- 処方薬:ムコスタ、セルベックスなど
- 市販薬:セルベールなど
などが挙げられます。
正しく服用するようにしましょう。
ロキソニンの市販薬
最後に、ドラッグストアなどで市販薬として買えるロキソニンを紹介します。
ロキソニンは「第一類医薬品」という部類の薬なので、薬剤師がいないと買えません。
インターネットでも購入できますが、文書での情報提供をしっかり受ける必要があります。インターネットで購入する場合は、本来なら直接薬剤師から情報提供を受けるべきことを覚えておきましょう。
ロキソニンS
シンプルにロキソプロフェンが入っている「ロキソニンS」です。
ロキソニンSプラス
「ロキソニンSプラス」にはロキソプロフェンのほか、胃を守る成分として「酸化マグネシウム」が入っています。
ロキソニンSプレミアム
「ロキソニンSプラス」にはロキソプロフェンのほか、
- アリルイソプロピルアセチル尿素:鎮痛効果を高める
- 無水カフェイン:鎮痛効果を補助する
- メタケイ酸アルミン酸マグネシウム:胃を守る
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