処方箋(処方せん)
処方箋(処方せん)とは、処方を文書化したもので、薬剤師に対して医師の指示通りの医薬品を整えることを要求する指示書である。
処方を処方箋に記入できる(処方権を持つ)のは、医師、歯科医師、獣医師のみである。
目次 (項目へとびます)
処方箋交付
処方箋交付義務
(医師法第22条、歯科医師法第21条)
- 交付するか否かは医師の判断
- 例外規定あり
- 処方箋は患者(またはその看護にあたっている者)に交付しなくてはならない
院外処方は、処方箋を交付しなければならない。医療機関から患者を経由せず薬局に交付することは認められていない。
院内処方では、処方箋を交付する義務はない。
無診療での交付は禁止
医師が診療せずに処方箋を交付することは禁止されている。
(医師法第20条、歯科医師法20条)
処方箋の様式
「後発医薬品への変更不可の場合以下に署名」欄がある。(2008.4から)
必要記載事項
(医師法施行規則第21条、歯科医師法施行規則第20条)
処方箋には、次の事項が記載されていないといけない。
- 患者氏名、年齢、性別
- 薬名、分量、用法・用量
- 発行年月日、使用期間
- 病院(診療所)の名称および所在地または医師の住所
- 医師の記名押印または署名
保険処方箋
保険処方箋は、保健医療機関及び保健医療養担当規則第23条で規定している様式に準拠する。
処方箋の種類
処方箋の種類は次のようになっている。
- 院外処方箋
- 外来処方箋
- 麻薬処方箋
- 院内処方箋
- 外来処方箋
- 入院処方箋
- 定時処方箋
- 臨時処方箋
- 麻薬処方箋
- 注射処方箋
院内処方箋は独自の様式がとられ、いくつかの記載事項が省略される。
麻薬処方箋については、「麻薬及び向精神薬取締法」で規定されている。
処方箋の読み方
正確に薬品を特定するには、
- 商品名
- 剤形
- 規格(含量)単位
の3要素が必要である。
薬品名
処方箋に記載される薬品名は、通常、商品名である。商品名は、薬価基準に収載されている名称である。
関連【薬の名前】商品名、一般名(薬物名)、成分名、化合物名の違いは?
院内処方箋では、別名、慣用名、略号が用いられることがあるが、少なくなってきている。(院内での)約束処方は、院外処方箋では禁止されている。
一般名で書かれる場合
一般名で処方箋に記載される場合がある。これは、後発医薬品を自由に選択できるようにするためである。
院外処方箋で一般名が増加しているのは、後発医薬品の処方が増えているためである。
表記
- 先発医薬品:商品名、剤形、規格
例: ロキソニン錠(60 mg) - 後発医薬品:一般名、剤形、含量、会社名
例: カルボシステイン錠(250 mg)「サワイ」
このように、先発品と後発品では表記の仕方が異なる。
接頭・接尾記号
接頭・接尾記号により、成分、作用時間、剤形などが異なる。
- 成分
- アスパラK・・・K:カリウム
- アスパラCA・・・CA:カルシウム
- 作用時間
- アダラート(通常製剤)
- アダラートL(徐放製剤)・・・・L:long
- 剤形
- テオドール(錠剤)
- テオドールG(顆粒製剤)・・・G:granule
- 規格
- ヒスロン(5 mg)
- ヒスロンH(200 mg)・・・H:high dose
分量:1日量
分量とは、1日に服用する量である。
- 頓服薬:1回量
- 注射・外用薬:全投与量
散剤には、g、mgの単位が使われる。
記されている量が主薬量か製剤量かは、常用量から判断する。
用法
- 服用回数
- 服用時期
- 投与経路
- 投与量(注射薬で細かい指示が必要な場合)
などが記載される。
用量:総投与量
用量とは、総投与量のことである。つまり、薬剤師が調剤すべき量である。
分量は1日に服用する量であるため、
用量=分量 × 投与日数
となる。
投与日数には、内服薬・外用薬ともに原則限度がない。しかし、予見可能で、投与が必要な期間とする。ただし、一部の薬は限度がある。
処方箋の使用期間
院外処方箋の使用期間は、交付日を含めて4日以内である。
ただし、長期の旅行など、特殊な事情があると認められる場合はこの限りではない。
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