細胞内受容体(核内受容体)
細胞内受容体(核内受容体)とは、名のとおり細胞内に存在する受容体である。
細胞内受容体は、リガンドと結合して複合体(受容体とリガンドがくっついたまとまり)を形成する。そしてその複合体が核内のDNAと結合し、転写因子として機能する。
そのため、核内受容体とも呼ばれる。
目次 (項目へとびます)
受容体分類での位置
受容体の分類における、細胞内受容体(核内受容体)の位置づけは次のようになっている。
細胞内受容体(核内受容体)は厳密には、リガンドと結合していないとき(受容体だけのとき)の存在場所によって、
- 細胞質受容体
- 核受容体
の2つに分類される。
細胞内受容体(核内受容体)の種類
細胞内受容体(核内受容体)の
- 細胞質受容体
- 核受容体
についてそれぞれまとめておく。
細胞質受容体
細胞質受容体は、名のとおり細胞質に存在する受容体である。
リガンドは細胞外から細胞膜を通って細胞内に入り、この受容体と結合して複合体(リガンドと受容体がくっついたまとまり)を形成する。
この複合体は核内へ移行し、DNAと結合して転写調節因子として働く。
細胞質受容体の例
細胞質受容体には、次のようなものがある。
- ステロイドホルモン(コルチゾール、アルドステロン、プロゲステロン)受容体
- 活性型ビタミンD3受容体
核受容体
核受容体とは、名のとおり核内に存在する受容体である。
リガンドが核内に入ると、この受容体と結合して複合体を形成する。この複合体は、核内のDNAに結合して転写調節因子として働く。
核受容体の例
核受容体には、次のようなものがある。
- ステロイドホルモン受容体(テストステロン、エストラジオール)受容体
- 甲状腺ホルモン受容体
- レチノイン酸受容体
機能
細胞内受容体(核内受容体)は、リガンドと結合して、リガンド-受容体複合体を形成する。
この複合体は核内に移行し、ヌクレオソームDNA鎖(ヒストンに巻き付いたDNA鎖)上の転写調節部位に結合する。
そして、遺伝子の転写を調節することで
- 代謝
- 恒常性の維持
- 発生
といった生命活動に関わっている。
遺伝子の転写を調節している、つまりタンパク質合成が起きているため、作用発現までに数十分から数時間かかる。
そのため、内因性リガンド濃度が下がり、受容体に結合するリガンドが減っても長時間にわたって効果が持続することが多い。
受容体が細胞内に存在することについて
細胞内受容体(核内受容体)の内因性リガンドは、次のようなものが挙げられる。
- ステロイドホルモン
- 糖質コルチコイド
- 硬質コルチコイド
- 性ホルモン
- 甲状腺ホルモン
- ビタミンD
これらのホルモンは、脂溶性である。イメージ的には油っぽいホルモンである。
これらのホルモンは脂溶性であるからこそ、その受容体は細胞内にあっても大丈夫なのである。
ここで重要なのが、細胞膜は脂質でできていることである。つまり細胞膜も油なのである。脂溶性とあるように、これらのホルモンは油に溶けやすい。ということは、これらのホルモンは油である細胞膜を通過して、簡単に細胞内に入ることができるということである。
そのため、受容体が細胞内に存在してもリガンドが結合することができ、情報伝達することができる。
水溶性のリガンドであれば、細胞内に入りにくいため、細胞外の細胞膜表面でリガンドを受け取る必要がある。
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