イオンチャネル内蔵型受容体

イオンチャネル内蔵型受容体は、その名のとおりイオンチャネルを内蔵している受容体のことである。この受容体にリガンドが結合し、作動すると、その受容体に内蔵するイオンチャネルの開口確率が上がり、そのイオンチャネルを通過するイオンの流れが促進する。要は作動薬が結合するとたくさんイオンを通すようになるということである。

上の図では、イオンチャネル内蔵型受容体の一例としてニコチン性アセチルコリン受容体を示している。このようにアセチルコリンはαサブユニットに結合し、Na+の細胞内への流入を増加させる。

イオンチャネル内蔵型受容体は、イオンを通過させることで細胞外や細胞内の電位を変化させ、細胞の機能を調節する。

受容体分類での位置

受容体の分類における、イオンチャネル内蔵型受容体の位置づけは次のようになっている。

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イオンチャネル内蔵型受容体の特徴

イオンチャネル内蔵型受容体の特徴
  • 5つのサブユニット・タンパク質で構成されるもの(5量体)が多い
    (P2X受容体は3つのサブユニットからなる)
  • それぞれのサブユニット・タンパク質は4回膜貫通(4TM:four-transmembrane)が多い
    (P2X受容体は2TM型、カプサイシン受容体(バニロイド受容体)は6TM型)
  • 中央部には小孔があり、そこで無機カチオン(Na+, K+, Ca2+)、無機アニオン(Cl)を通過させる
  • 小孔での無機イオンの輸送は受動的
  • イオンの輸送の駆動力は、細胞内外に存在する各イオンの電気化学的勾配

イオンチャネル内蔵型受容体の種類

主なイオンチャネル内蔵型受容体6つを次に挙げる。

イオンチャネル内蔵型受容体の種類
  1. ニコチン性アセチルコリン受容体(ニコチン受容体
    • NM受容体(骨格筋型ニコチン受容体)
    • NN受容体(神経型ニコチン受容体)
  2. イオンチャネル型グルタミン酸受容体
    • NMDA受容体
    • AMPA受容体
    • カイニン酸受容体
  3. GABAA受容体
  4. グリシン受容体
  5. 5-HT3受容体(セロトニン受容体)
  6. P2X受容体

※グルタミン酸受容体については、次の2つがある。

ニコチン性アセチルコリン受容体(ニコチン受容体)は、Na+チャネル開口によりNa+が細胞内に流入し、脱分極性の興奮を生じさせる。
この受容体はさらに次の2つに大きく分けられる。

  • NM受容体
  • NN受容体

NM受容体の「M」は「muscle:筋肉」を意味し、
NN受容体の「N」は「nerve:神経」を意味している。

イオンチャネル型グルタミン酸受容体は、チャネル開口により、脱分極性の興奮を生じさせる。
この受容体はさらに次の3つに分けられる。

  • NMDA受容体(NMDA:N-methyl-D-aspartate = N-メチル-D-アスパラギン酸)
  • AMPA受容体(AMPA:α-amino-3-hydroxy-5-methyl-4-isoxazolepropionic acid)
  • カイニン酸(kainate)受容体

それぞれのイオンチャネル内蔵型受容体について

イオンチャネル内蔵型受容体の分類生じる効果透過させるイオン流れ
ニコチン性アセチルコリン受容体NM受容体脱分極性の興奮Na+Na+チャネル開口
→Na+の細胞内流入
→脱分極
NN受容体
イオンチャネル型グルタミン酸受容体NMDA受容体脱分極性の興奮Ca2+, Na+, K+Ca2+チャネル開口
→Ca2+細胞内流入
→脱分極
AMPA受容体Na+, K+Na+, K+チャネル開口

・Na+の細胞内流入
・K+の細胞外流出

脱分極
カイニン酸受容体
GABAA受容体過分極性の抑制Cl-Cl-チャネル開口
→Cl-の細胞内流入
→過分極
グリシン受容体
5-HT3受容体(セロトニン受容体)脱分極性の興奮Na+, K+Na+, K+チャネルの開口

・Na+の細胞内流入
・K+の細胞外流出

脱分極
P2X受容体脱分極性の興奮Na+, K+, Ca2+Na+, K+, Ca2+の細胞内流入
→脱分極