(α-)メチルドパはアドレナリンα2受容体刺激薬である。

α-メチルドパはドパ脱炭酸酵素とドパミンβ-水酸化酵素によりα-メチルノルアドレナリンに変換される。

変換されたα-メチルノルアドレナリンがα2受容体を刺激して降圧作用を示すため、(α-)メチルドパは高血圧症に用いられている。

メチルドパ水和物

出典:「メチルドパ錠250mg「トーワ」」添付文書

α-メチルドパ → α-メチルノルアドレナリンへの変換

α-メチルドパからα-メチルノルアドレナリンへの変換は以下のようになっている。

  1. α-メチルドパ
     ↓ ドパ脱炭酸酵素
  2. α-メチルドパミン
     ↓ ドパミンβ-水酸化酵素
  3. α-メチルノルアドレナリン

このように、α-メチルドパはドパ脱炭酸酵素によりα-メチルドパミンに変換され、α-メチルドパミンはドパミンβ-水酸化酵素によりα-メチルノルアドレナリンに変換される。

α-メチルドパは、ドパ(レボドパ)のα位にメチル基が付いたものであるため、α-メチルドパはカテコールアミンの生合成と同じように変換される。

  1. ドパ
     ↓ ドパ脱炭酸酵素
  2. ドパミン
     ↓ ドパミンβ-水酸化酵素
  3. ノルアドレナリン

作用機序:α2受容体刺激、NAd生合成阻害

(α-)メチルドパの作用としては、以下の2つが挙げられる。

  • α2受容体刺激作用
  • ノルアドレナリン(NAd)生合成阻害作用

α2受容体刺激作用

α-メチルドパから変換されてできたα-メチルノルアドレナリンは、以下のように作用する。

  • 延髄血管運動中枢のα2受容体を刺激する
  • 末梢交感神経シナプス前膜α2受容体を刺激する

延髄血管運動中枢のα2受容体刺激

中枢で生成したα-メチルノルアドレナリンは、延髄血管運動中枢のα2受容体を刺激する。

それにより中枢性に交感神経の緊張を低下させて末梢血管を拡張し、血圧を下げる。

末梢交感神経シナプス前膜α2受容体刺激

α-メチルノルアドレナリンは、末梢交感神経のシナプス前膜にあるα2受容体を刺激し、ノルアドレナリンの遊離を抑制し、血圧を下げる。

α2受容体というのは自己受容体(オートレセプター)であり、シナプス前膜に存在する。シナプス後膜ではない。

α2受容体はノルアドレナリンを放出する細胞の細胞膜に存在しており、α2受容体が刺激されることでノルアドレナリンの放出(遊離)を調整している。

ノルアドレナリンを放出しすぎていると、α2受容体がセンサーとして働いてノルアドレナリン放出にストップをかけるイメージである。

このα2受容体に作用して交感神経を抑制しよう、というのがα-メチルノルアドレナリンである。

NAd生合成阻害作用

α-メチルドパはアドレナリン作動性神経内に取り込まれたあと、各酵素によりα-メチルドパミン(DA)、α-メチルノルアドレナリンへと変換(代謝)される。

ノルアドレナリンも同じ酵素により代謝されるため、α-メチルドパはドパ(レボドパ)と競合する。

そのため、α-メチルドパはノルアドレナリンの生合成を阻害する作用を示す。

適応

  • 高血圧症

副作用

  • 眠気
  • 徐脈
  • 抑うつ
  • パーキンソン症状

医療用医薬品

  • アルドメット錠125/アルドメット錠250
  • ユープレスドパ錠250mg
  • メチルドパ錠250mg「トーワ」
  • メチルドパ錠(ツルハラ)125/メチルドパ錠(ツルハラ)250

関連

クロニジンと同じアドレナリンα2受容体刺激薬に、クロニジングアナベンズがある。