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薬学部の研究室の選び方について説明します。参考にしていただけたら幸いです。実際に薬学部の研究室に所属している身(薬学科)から話します。

関連項目↓
【薬学部】研究室はどんなところか?研究とは?
【薬学部】6年制(薬学科)と4年生(薬科学科) 違いは?どちらに進むべきか?

研究室選びの重要性

研究室選びはとても大事です。

大体の大学は、3~4年次に研究室に配属されることになると思います。卒業論文を出すまでは研究室にお世話になることになるので、3年は研究室に所属することになります。(4年制であっても大学院を合わせて6年としています)

研究室は3年間です!3年間!適当に研究室を決めてしまうと大学生活が台無しになってしまうかもしれません!入ってから後悔しないようにしましょう。いったん研究室に配属されると、研究室を変えるのは難しいです。

研究室によっては研究が大変なところもあり、心身ともに削られることもあります。研究室選びは慎重にしましょう。研究室選びを誤って、大学をやめてしまったという方もいます。

また、研究室選びは自分の人生にも関わってきます。研究室によっては就職先の選択もかわってくると思います。大学での人間関係は、就職してからも続くこともあるでしょう。自分はどういう人と関わる人生にしたいか、というのを考えるのも良いでしょう。

どんな人生にしたいか

研究室選びでまず考えることは何か?

「どんな人生にしたいか?」

「将来何の仕事をしたいか?」

あたりまえでおおげさに聞こえるかもしれませんが、これを考えておくのは大事です。これを自分と向き合ってじっくり考え、整理すると、おのずと行きたい研究室は決まると思います。

自分の就きたい職を考えておくのが現実的です。薬学部から就職するとしたら、一般的な職は次が挙げられると思います。

  • 病院薬剤師
  • 薬局薬剤師
  • ドラッグストア
  • 製薬企業・・・研究、開発、学術、MR、品質管理、生産など
  • 公務員・・・薬剤師、保健所、研究など
  • そのうち薬局経営?

就きたい職によって、選ぶべき研究室は変わる場合があります。研究室に入る前に将来の見通しを立てておくのは大事です。こんなつもりじゃなかった・・・とならないようによく考えることが大事です。

6年制か4年制か

研究室を選ぶ場合、薬学科(6年制)か薬科学科(4年制)かによって、選ぶ基準は変わってくると思います。

関連【薬学部】6年制(薬学科)と4年生(薬科学科) 違いは?どちらに進むべきか?

6年制の場合

薬学科で薬剤師になるなら、研究室はどこでもいいと思います。自分が行きたいところでいいと思います。研究室での研究成果が就活に関係することはまずないと思います。研究をいくら頑張っていようが頑張っていまいが、関係ないです。

関連【薬学部】研究成果は就職で必要か?

薬学科で考慮しておく点としては、実習があることです。4年後期、5年次には事前学習、実習があります。実習中、研究室に行かなければならない研究室もあります。実習に行きつつ、研究・実験をしなければならないというのは負担になります。その点も確かめておきましょう。

6年制で製薬企業に行きたいなら、きつい研究室に行って研究を頑張るべきか?といったら、そういうわけでもありません。ただ、6年制でも研究職に就きたいなら、研究がしっかりできる研究室を選ぶべきです。

製薬企業は何も研究だけではありません。開発、MR、品質管理などさまざまな職種があります。それらに就くために研究を頑張る必要があるのかというと、絶対に必要ということはありません。研究よりも、TOEICなど、英語力を伸ばす必要があります

6年制の場合、実習や国家試験もあるため、忙しい研究室に行くのはリスクになるかもしれません。

4年制の場合

4年制の場合、4年で卒業して就職するのか、大学院に進学するのかによって研究室の選択は変わってくると思います。

それぞれ、自分の進路や希望にあった研究室選びをする必要があります

研究職志望の場合

自分の進路を実現するためには研究をどれだけ頑張るべきなのか、どんな分野の研究をすべきなのかを考える必要があると思います。

研究職志望の場合、研究室はよく考える必要があります。研究職に就くとしたら、やはり大手など、待遇が良い企業にいきたいはずです。入った研究室のレベルや分野によって、就職が変わってくる可能性があります

まず研究職の場合、出身大学のレベルというのが見られます。大手なんかは優秀な学生を欲しがっていますから、まず大学のレベルでふるいにかけるでしょう。研究室選びの段階では、大学のレベルはどうしようもないので、やはり就活がより有利になるような研究室を選ぶ必要があります。大学のレベルを上げるために院転というのもあります。

大学のレベルも大事ですが、研究室のレベルも大事です。権威の先生の研究室であれば、それだけで自分の価値が上がるかもしれません。結局、大事なのは自分の実力ですが、質の高い研究室を選ぶというのも大事だと思います。

薬学部だと研究室の分野としては、生物系、有機系、物理系、分析系、薬剤系、臨床系などがあると思います。研究職の就きやすさでいうと、他の学部との競合が少ない、薬学部特有の薬剤系などが就職で有利とされています。

生物系や有機系などは工学部や理学部など、他の学部でもあります。就職の際には他の学部と闘わなければなりません。

他の学部と薬学部の違いについて補足します。薬学というのは、広く、浅く、という学問です。いろんな学問分野を含み、学問の深さでいえば浅いです。生物系、有機系などは他の学部のほうがより専門的に勉強しています。その分野で戦うということは、それなりの力をつけるために努力する必要があります。このような学部の関係については知っておいて損はないと思います。

研究室選びの際、自分が興味のある分野を選ぶのも良いですが、就職の面を考えて選択するべきだと思います。

どんな学生生活を送りたいか

研究室を選ぶ上では、どんな学生生活を送りたいかというのも大事です。人生において学生という期間は貴重です。大学生は人生の夏休みとも言われますから、学生生活は有意義にすべきです。うっかり研究室選びをミスって20代前半の貴重な時間を無駄にしないようにしましょう。

研究をがつがつして、成果も出して、研究を楽しむ!という充実した研究生活を送るのも1つだと思います。しかし、研究室に入る前と入った後では、「思ってたのと違う!」ということもあります。よく調べて、よく考えるようにしましょう。

「研究生活は学生生活の墓場」と呼ばれることもあります。それほど、大変な研究室は大変です。別にそこまで頑張る必要はないかもしれませんが、研究室の雰囲気というのがあります。先生が「実験もっとしような?」、周りの学生や先輩が「もう帰るの?」みたいな雰囲気がある研究室はあると思います。

研究を頑張りたい人はそういうところに行くべきです。お互い高めあうことでモチベーションを維持できると思います。ですが研究が直に反映されない職を目指す人や、実験が嫌いという人にとっては、そういう研究室はしんどいと思います。

研究室によって、学生生活は変わると思います。朝のこの時間までにはこないといけないような研究室がある一方で、自由にできる研究室もあります。入りたい研究室が、自分にマッチしているかよく確かめるようにしましょう。

情報を集める

研究室を選ぶためにはいろんな情報を集める必要があります。自分の就職に関する情報から研究室の事情まで・・・。ここでは研究室についてどんなことを知っておけば良いのかまとめておきます。

どんな情報を集めるべきか

教授の人柄

教授の人柄は1番大事です。大切なことなのでもう一回言いますが、先生の人柄はとても大事です。自分と相性が良いか、これが大事です。

中学校や高校でいやな先生がクラス担任になったときのことを思い出してください。研究室選びで、いやな(相性の悪い)先生の研究室になったら、中学高校以上に最悪です。中学高校は1年ですが、研究室は3年です。長いです。

研究は自分1人でできるものではありません。先生から研究テーマをもらって、相談しながら進めていくのが一般的です。研究室にいる限り、先生に頼ることになります。自分が頑張ったことをひと蹴りして文句を言ってくる先生と、しっかり評価してくれて気にかけてくれる先生、どちらがいいかということです。

先生の人柄によって自分のモチベーションも変わると思います。先生が学生を大切にしない研究室は絶対選ばないほうが良いです。厳しい先生でも、自分が研究をしたくて、成長できると思うならかまわないと思います。

先生が嫌なら、研究室に行くのもおっくうになると思います。

教授の力

教授の力についても知っておいたほうが良いです。教授の力というと、知識の深さ、政治力、成果(論文のインパクトファクターはいくらか)、話のうまさ、どれだけ研究費をとれているかなどがあると思います。

学生に直接関わってくるのは、どれだけ研究費をとれているかです。お金がある研究室なら研究設備が整っていて、たくさん実験できたり、実験が楽だったりします。また身の回りの環境も良く、空調も使いたい放題だったりします。あまりお金がない研究室だと、実験をする際にも不自由だったりします。

教授がどれだけ研究費をとっているか知りたい場合は、教授の名前と科研費、研究費などで検索をかけましょう。

就職先

その研究室から卒業した人の就職先は知っておくべきです。とても参考になります。この研究室は病院(薬局)薬剤師になっている人が多いとか、ここは公務員が多いとか、ここは大手の製薬企業に行っている人がいるとか。

この研究室に行けば大手の製薬企業に行ける、というわけではありませんが、1つの指標になると思います。そういう可能性がある、というのが判断できます。

公務員をよく輩出している研究室であれば、公務員試験の勉強をする時間がとれる研究室だとわかります。研究職に就く人が多い研究室なら、それだけ研究の実力がつく研究室だと推測できます。

帰る時間(拘束時間)

研究室には、コアタイムといって、この時間からこの時間までは研究室にいないといけないという時間があります。全ての研究室にコアタイムがあるとは限りません。このコアタイム、つまりどれくらい研究室にいないといけないか、知っておくべきです。

コアタイムが設定されていても、どれくらいそれが守られているかも大事です。先生が寛容なら、多少自由にできます。逆に、それが設定されていても、終わりの時間に帰れない研究室もあります。実験の都合で帰れないというのはあるでしょうが、研究室の雰囲気で帰りにくいというのは最悪です。

帰る時間は自分のQOLに関わってくるので、研究室の先輩に直接聞くようにしましょう。

人間関係(雰囲気)

研究室の人間関係や雰囲気も大事です。自分がその研究室の雰囲気にあっているのか。研究室は大学でのホームとも呼べるものになるので、自分にあってないとストレスになると思います。

新しく入る場合同期はどうなるかわからないため、どんな先輩がいるのか、どんな雰囲気なのか聞いておいて、自分がマッチできるか確かめておきましょう。

研究室の雰囲気について知る場合は、その研究室の人からだけではなく他の研究室の人からも聞くようにしましょう。判断するには客観的な視点も必要です。いろんな視点の人から話を聞くのが大事です。

研究室の環境

研究室の環境も選ぶ要素の1つになると思います。研究室の場所、設備、掃除がされてきれいに維持されているか、空調が制限されていないかなど。

場所は仕方ないですが、設備や空調が使えるかなどは研究室にお金があるかどうかになると思います。

選ぶ際、研究室で見るべきポイントは片付けがしっかりされているか、掃除がされているかなどです。そういった研究室の環境は、教授の人柄がでます。教授の管理が行き届いていれば備品などは整理整頓されていて、すっきりしていると思います。このポイントも覚えておきましょう。

メンバー(先輩がいるか、同期生との相性)

今まででも言いましたが、研究室のメンバーは大事です。特に、同期のメンバーは特に大事です。教授の人柄が一番大事と言いましたが、教授がどんなに最悪でも同期のメンバーが良ければ乗り越えられる・・・・と言い切りはしませんが、忙しい大変な研究室でも同期が良ければ楽しくやっていけると思います。

研究室で一緒にいる人は同期が一番多いと思います。同期で自分と相性の悪い人がいるとしんどいと思います。くりかえしますが研究室は3年です。わりと長いです。同期のメンバーについて、軽視せずに判断するようにしましょう。

学生の業績

研究で成果をあげたいなら、その研究室の学生は成果をあげているかを知るべきです。

博士課程の学生で、「日本学術振興会特別研究員」がいるかどうかは1つに指標になります。この「日本学術振興会特別研究員」というのに選ばれると、月20万円の奨学金がもらえます。これはなかなか選ばれるものではなく、自分のしている研究の有用性が認められなければ認可されません。

これに選ばれている学生がいるということは、

  • 教授の指導が良くて学生が成長できる
  • 教授に政治力があって審査を通すことができる

ということがわかります。

また、学会で受賞しているかも指標になると思います。受賞しているならそれだけ教授が指導に関わり、面倒見が良いとわかります。もちろん学生の実力もあるでしょうが。

集める手段

情報を集める手段としては、先生から、先輩から、ネットから・・・などいろいろあると思います。大事なのは、いろんなところから可能な限り情報収集することです。ネットからでもできる限り集めるべきです。いろいろ知ってから判断すれば良いと思います。

気になる研究室があれば教授にアポをとって訪問し、紹介、説明を受けるのが第一歩だと思います。教授からの説明で大事なのは、教授の話が研究室のすべてではないということです。

教授は、自分にとって都合の良いことしか基本的に話しません。学生が自分の研究室に来たくなくなるようなことは言いません。教授も自分と相性の良い人を求めています。こういう人はお断りです、と言うことはあります。

教授の話で研究室についてすべてわかるわけではありません。「研究室に入ってから現実を知った」と言われる所以はこれです。特に重要なのは、その研究室の先輩から直接話を聞くということです。内情がよくわかると思います。また、他の研究室の人からの評判も聞くべきです。自分の研究室について悪く言いたくないという面があるかもしれません。そういう面も、他の視点の人から聞くことでわかります。

どの研究室へ行くか判断する

研究室を選ぶ際の基準はほんとうにたくさんあります。自分の希望をすべて満たす研究室というのは、なかなかないと思います。結局いろんな要素を天秤にかけて、自分に合うところを選ぶことになると思います。選択のために必要な情報とかぶりますが、選ぶ基準についてまとめておきます。 

将来どうしたいか

薬学科なら薬剤師免許を取ることになります。薬剤師になるなら、楽な研究室で間違いないです。実習の事前学習、OSCE、CBT、病院薬局実習、国家試験など、4年制よりもすべきことが多いです。ぶっちゃけ研究は二の次です。自分の勉強を優先できる研究室を選んでおくと楽です。研究室配属前なら、よく考えましょう。

関連【薬学部】研究成果は就職で必要か?

研究職に就きたいなら、研究室選びは大事です。自分が研究したい分野、就職のしやすい分野、教授の力(政治力、指導力など)、研究室の雰囲気など、考慮すべき点はいろいろあります。大手を目指すなら東大、京大などの大学院に入ることも視野に研究室を選ぶ必要もあるかもしれません。

製薬企業(研究職を除く)に行きたいなら、製薬企業に行った人がいる研究室を選んだほうが良いかもしれません。就職に関する情報が手に入りやすいと思います。その点では有利でしょうが、結局は自分の実力です。自分の実力を高めることができる研究室に行きましょう。

教授の人柄

自分の将来について考えることが先ですが、研究室を選ぶ際に一番大事なのは、繰り返しになりますが教授の人柄です。研究分野でも、研究内容でも、研究成果でもないです。教授の人柄が研究室の雰囲気にも表れます。研究室が楽かどうかにもつながり、自分のQOLにもつながります。

研究内容にいくら魅力があっても、教授と相性が良くなければ研究を続けるのはしんどいです。

教授と直接話してみて、いろんな人から教授の評判を聞いて判断しましょう。

楽かどうか

研究職を目指す人で、将来のために今がんばるという人以外は、結局楽かどうかです。これは教授の人柄からくるものなので、つまるところ教授の人柄です。

とりあえず、楽なところに入っておけば間違いないです。あとは楽しくできそうかです。楽しくできそうな先輩、同期がいれば良しです。

同期のメンバー

同期のメンバーの重要性は、再度示しておきます。研究室は3年間あります。さらに進学するならそれ以上。

6年制であればOSCE、CBT、実習、国家試験など、勉強面で話せる相手は必要です。4年制で研究を頑張るなら苦楽を共にする仲間が良いに越したことはありません。相性が良い人とならストレスなく学生生活を送れると思います。なにより楽しいと思います。

最後に

自分の人生をより良くするために、最大限の情報を集めて研究室を選ぶようにしましょう。最終的には妥協することになるかもしれません。この記事がここまで読んでくださった人の足しになれば幸いです。

http://kusuri-yakugaku.com/wp-content/uploads/2016/09/a1260_000002-2.jpghttp://kusuri-yakugaku.com/wp-content/uploads/2016/09/a1260_000002-2-150x150.jpgTom薬学薬学部の研究室の選び方について説明します。参考にしていただけたら幸いです。実際に薬学部の研究室に所属している身(薬学科)から話します。 関連項目↓ 【薬学部】研究室はどんなところか?研究とは? 【薬学部】6年制(薬学科)と4年生(薬科学科) 違いは?どちらに進むべきか? 研究室選びの重要性 研究室選びはとても大事です。 大体の大学は、3~4年次に研究室に配属されることになると思います。卒業論文を出すまでは研究室にお世話になることになるので、3年は研究室に所属することになります。(4年制であっても大学院を合わせて6年としています) 研究室は3年間です!3年間!適当に研究室を決めてしまうと大学生活が台無しになってしまうかもしれません!入ってから後悔しないようにしましょう。いったん研究室に配属されると、研究室を変えるのは難しいです。 研究室によっては研究が大変なところもあり、心身ともに削られることもあります。研究室選びは慎重にしましょう。研究室選びを誤って、大学をやめてしまったという方もいます。 また、研究室選びは自分の人生にも関わってきます。研究室によっては就職先の選択もかわってくると思います。大学での人間関係は、就職してからも続くこともあるでしょう。自分はどういう人と関わる人生にしたいか、というのを考えるのも良いでしょう。 どんな人生にしたいか 研究室選びでまず考えることは何か? 「どんな人生にしたいか?」 「将来何の仕事をしたいか?」 あたりまえでおおげさに聞こえるかもしれませんが、これを考えておくのは大事です。これを自分と向き合ってじっくり考え、整理すると、おのずと行きたい研究室は決まると思います。 自分の就きたい職を考えておくのが現実的です。薬学部から就職するとしたら、一般的な職は次が挙げられると思います。 病院薬剤師 薬局薬剤師 ドラッグストア 製薬企業・・・研究、開発、学術、MR、品質管理、生産など 公務員・・・薬剤師、保健所、研究など そのうち薬局経営? 就きたい職によって、選ぶべき研究室は変わる場合があります。研究室に入る前に将来の見通しを立てておくのは大事です。こんなつもりじゃなかった・・・とならないようによく考えることが大事です。 6年制か4年制か 研究室を選ぶ場合、薬学科(6年制)か薬科学科(4年制)かによって、選ぶ基準は変わってくると思います。 関連【薬学部】6年制(薬学科)と4年生(薬科学科) 違いは?どちらに進むべきか? 6年制の場合 薬学科で薬剤師になるなら、研究室はどこでもいいと思います。自分が行きたいところでいいと思います。研究室での研究成果が就活に関係することはまずないと思います。研究をいくら頑張っていようが頑張っていまいが、関係ないです。 関連【薬学部】研究成果は就職で必要か? 薬学科で考慮しておく点としては、実習があることです。4年後期、5年次には事前学習、実習があります。実習中、研究室に行かなければならない研究室もあります。実習に行きつつ、研究・実験をしなければならないというのは負担になります。その点も確かめておきましょう。 6年制で製薬企業に行きたいなら、きつい研究室に行って研究を頑張るべきか?といったら、そういうわけでもありません。ただ、6年制でも研究職に就きたいなら、研究がしっかりできる研究室を選ぶべきです。 製薬企業は何も研究だけではありません。開発、MR、品質管理などさまざまな職種があります。それらに就くために研究を頑張る必要があるのかというと、絶対に必要ということはありません。研究よりも、TOEICなど、英語力を伸ばす必要があります。 6年制の場合、実習や国家試験もあるため、忙しい研究室に行くのはリスクになるかもしれません。 4年制の場合 4年制の場合、4年で卒業して就職するのか、大学院に進学するのかによって研究室の選択は変わってくると思います。 それぞれ、自分の進路や希望にあった研究室選びをする必要があります。 研究職志望の場合 自分の進路を実現するためには研究をどれだけ頑張るべきなのか、どんな分野の研究をすべきなのかを考える必要があると思います。 研究職志望の場合、研究室はよく考える必要があります。研究職に就くとしたら、やはり大手など、待遇が良い企業にいきたいはずです。入った研究室のレベルや分野によって、就職が変わってくる可能性があります。 まず研究職の場合、出身大学のレベルというのが見られます。大手なんかは優秀な学生を欲しがっていますから、まず大学のレベルでふるいにかけるでしょう。研究室選びの段階では、大学のレベルはどうしようもないので、やはり就活がより有利になるような研究室を選ぶ必要があります。大学のレベルを上げるために院転というのもあります。 大学のレベルも大事ですが、研究室のレベルも大事です。権威の先生の研究室であれば、それだけで自分の価値が上がるかもしれません。結局、大事なのは自分の実力ですが、質の高い研究室を選ぶというのも大事だと思います。 薬学部だと研究室の分野としては、生物系、有機系、物理系、分析系、薬剤系、臨床系などがあると思います。研究職の就きやすさでいうと、他の学部との競合が少ない、薬学部特有の薬剤系などが就職で有利とされています。 生物系や有機系などは工学部や理学部など、他の学部でもあります。就職の際には他の学部と闘わなければなりません。 他の学部と薬学部の違いについて補足します。薬学というのは、広く、浅く、という学問です。いろんな学問分野を含み、学問の深さでいえば浅いです。生物系、有機系などは他の学部のほうがより専門的に勉強しています。その分野で戦うということは、それなりの力をつけるために努力する必要があります。このような学部の関係については知っておいて損はないと思います。 研究室選びの際、自分が興味のある分野を選ぶのも良いですが、就職の面を考えて選択するべきだと思います。 どんな学生生活を送りたいか 研究室を選ぶ上では、どんな学生生活を送りたいかというのも大事です。人生において学生という期間は貴重です。大学生は人生の夏休みとも言われますから、学生生活は有意義にすべきです。うっかり研究室選びをミスって20代前半の貴重な時間を無駄にしないようにしましょう。 研究をがつがつして、成果も出して、研究を楽しむ!という充実した研究生活を送るのも1つだと思います。しかし、研究室に入る前と入った後では、「思ってたのと違う!」ということもあります。よく調べて、よく考えるようにしましょう。 「研究生活は学生生活の墓場」と呼ばれることもあります。それほど、大変な研究室は大変です。別にそこまで頑張る必要はないかもしれませんが、研究室の雰囲気というのがあります。先生が「実験もっとしような?」、周りの学生や先輩が「もう帰るの?」みたいな雰囲気がある研究室はあると思います。 研究を頑張りたい人はそういうところに行くべきです。お互い高めあうことでモチベーションを維持できると思います。ですが研究が直に反映されない職を目指す人や、実験が嫌いという人にとっては、そういう研究室はしんどいと思います。 研究室によって、学生生活は変わると思います。朝のこの時間までにはこないといけないような研究室がある一方で、自由にできる研究室もあります。入りたい研究室が、自分にマッチしているかよく確かめるようにしましょう。 情報を集める 研究室を選ぶためにはいろんな情報を集める必要があります。自分の就職に関する情報から研究室の事情まで・・・。ここでは研究室についてどんなことを知っておけば良いのかまとめておきます。 どんな情報を集めるべきか 教授の人柄 教授の人柄は1番大事です。大切なことなのでもう一回言いますが、先生の人柄はとても大事です。自分と相性が良いか、これが大事です。 中学校や高校でいやな先生がクラス担任になったときのことを思い出してください。研究室選びで、いやな(相性の悪い)先生の研究室になったら、中学高校以上に最悪です。中学高校は1年ですが、研究室は3年です。長いです。 研究は自分1人でできるものではありません。先生から研究テーマをもらって、相談しながら進めていくのが一般的です。研究室にいる限り、先生に頼ることになります。自分が頑張ったことをひと蹴りして文句を言ってくる先生と、しっかり評価してくれて気にかけてくれる先生、どちらがいいかということです。 先生の人柄によって自分のモチベーションも変わると思います。先生が学生を大切にしない研究室は絶対選ばないほうが良いです。厳しい先生でも、自分が研究をしたくて、成長できると思うならかまわないと思います。 先生が嫌なら、研究室に行くのもおっくうになると思います。 教授の力 教授の力についても知っておいたほうが良いです。教授の力というと、知識の深さ、政治力、成果(論文のインパクトファクターはいくらか)、話のうまさ、どれだけ研究費をとれているかなどがあると思います。 学生に直接関わってくるのは、どれだけ研究費をとれているかです。お金がある研究室なら研究設備が整っていて、たくさん実験できたり、実験が楽だったりします。また身の回りの環境も良く、空調も使いたい放題だったりします。あまりお金がない研究室だと、実験をする際にも不自由だったりします。 教授がどれだけ研究費をとっているか知りたい場合は、教授の名前と科研費、研究費などで検索をかけましょう。 就職先 その研究室から卒業した人の就職先は知っておくべきです。とても参考になります。この研究室は病院(薬局)薬剤師になっている人が多いとか、ここは公務員が多いとか、ここは大手の製薬企業に行っている人がいるとか。 この研究室に行けば大手の製薬企業に行ける、というわけではありませんが、1つの指標になると思います。そういう可能性がある、というのが判断できます。 公務員をよく輩出している研究室であれば、公務員試験の勉強をする時間がとれる研究室だとわかります。研究職に就く人が多い研究室なら、それだけ研究の実力がつく研究室だと推測できます。 帰る時間(拘束時間) 研究室には、コアタイムといって、この時間からこの時間までは研究室にいないといけないという時間があります。全ての研究室にコアタイムがあるとは限りません。このコアタイム、つまりどれくらい研究室にいないといけないか、知っておくべきです。 コアタイムが設定されていても、どれくらいそれが守られているかも大事です。先生が寛容なら、多少自由にできます。逆に、それが設定されていても、終わりの時間に帰れない研究室もあります。実験の都合で帰れないというのはあるでしょうが、研究室の雰囲気で帰りにくいというのは最悪です。 帰る時間は自分のQOLに関わってくるので、研究室の先輩に直接聞くようにしましょう。 人間関係(雰囲気) 研究室の人間関係や雰囲気も大事です。自分がその研究室の雰囲気にあっているのか。研究室は大学でのホームとも呼べるものになるので、自分にあってないとストレスになると思います。 新しく入る場合同期はどうなるかわからないため、どんな先輩がいるのか、どんな雰囲気なのか聞いておいて、自分がマッチできるか確かめておきましょう。 研究室の雰囲気について知る場合は、その研究室の人からだけではなく他の研究室の人からも聞くようにしましょう。判断するには客観的な視点も必要です。いろんな視点の人から話を聞くのが大事です。 研究室の環境 研究室の環境も選ぶ要素の1つになると思います。研究室の場所、設備、掃除がされてきれいに維持されているか、空調が制限されていないかなど。 場所は仕方ないですが、設備や空調が使えるかなどは研究室にお金があるかどうかになると思います。 選ぶ際、研究室で見るべきポイントは片付けがしっかりされているか、掃除がされているかなどです。そういった研究室の環境は、教授の人柄がでます。教授の管理が行き届いていれば備品などは整理整頓されていて、すっきりしていると思います。このポイントも覚えておきましょう。 メンバー(先輩がいるか、同期生との相性) 今まででも言いましたが、研究室のメンバーは大事です。特に、同期のメンバーは特に大事です。教授の人柄が一番大事と言いましたが、教授がどんなに最悪でも同期のメンバーが良ければ乗り越えられる・・・・と言い切りはしませんが、忙しい大変な研究室でも同期が良ければ楽しくやっていけると思います。 研究室で一緒にいる人は同期が一番多いと思います。同期で自分と相性の悪い人がいるとしんどいと思います。くりかえしますが研究室は3年です。わりと長いです。同期のメンバーについて、軽視せずに判断するようにしましょう。 学生の業績 研究で成果をあげたいなら、その研究室の学生は成果をあげているかを知るべきです。 博士課程の学生で、「日本学術振興会特別研究員」がいるかどうかは1つに指標になります。この「日本学術振興会特別研究員」というのに選ばれると、月20万円の奨学金がもらえます。これはなかなか選ばれるものではなく、自分のしている研究の有用性が認められなければ認可されません。 これに選ばれている学生がいるということは、 教授の指導が良くて学生が成長できる 教授に政治力があって審査を通すことができる ということがわかります。 また、学会で受賞しているかも指標になると思います。受賞しているならそれだけ教授が指導に関わり、面倒見が良いとわかります。もちろん学生の実力もあるでしょうが。 集める手段 情報を集める手段としては、先生から、先輩から、ネットから・・・などいろいろあると思います。大事なのは、いろんなところから可能な限り情報収集することです。ネットからでもできる限り集めるべきです。いろいろ知ってから判断すれば良いと思います。 気になる研究室があれば教授にアポをとって訪問し、紹介、説明を受けるのが第一歩だと思います。教授からの説明で大事なのは、教授の話が研究室のすべてではないということです。 教授は、自分にとって都合の良いことしか基本的に話しません。学生が自分の研究室に来たくなくなるようなことは言いません。教授も自分と相性の良い人を求めています。こういう人はお断りです、と言うことはあります。 教授の話で研究室についてすべてわかるわけではありません。「研究室に入ってから現実を知った」と言われる所以はこれです。特に重要なのは、その研究室の先輩から直接話を聞くということです。内情がよくわかると思います。また、他の研究室の人からの評判も聞くべきです。自分の研究室について悪く言いたくないという面があるかもしれません。そういう面も、他の視点の人から聞くことでわかります。 どの研究室へ行くか判断する 研究室を選ぶ際の基準はほんとうにたくさんあります。自分の希望をすべて満たす研究室というのは、なかなかないと思います。結局いろんな要素を天秤にかけて、自分に合うところを選ぶことになると思います。選択のために必要な情報とかぶりますが、選ぶ基準についてまとめておきます。  将来どうしたいか 薬学科なら薬剤師免許を取ることになります。薬剤師になるなら、楽な研究室で間違いないです。実習の事前学習、OSCE、CBT、病院薬局実習、国家試験など、4年制よりもすべきことが多いです。ぶっちゃけ研究は二の次です。自分の勉強を優先できる研究室を選んでおくと楽です。研究室配属前なら、よく考えましょう。 関連【薬学部】研究成果は就職で必要か? 研究職に就きたいなら、研究室選びは大事です。自分が研究したい分野、就職のしやすい分野、教授の力(政治力、指導力など)、研究室の雰囲気など、考慮すべき点はいろいろあります。大手を目指すなら東大、京大などの大学院に入ることも視野に研究室を選ぶ必要もあるかもしれません。 製薬企業(研究職を除く)に行きたいなら、製薬企業に行った人がいる研究室を選んだほうが良いかもしれません。就職に関する情報が手に入りやすいと思います。その点では有利でしょうが、結局は自分の実力です。自分の実力を高めることができる研究室に行きましょう。 教授の人柄 自分の将来について考えることが先ですが、研究室を選ぶ際に一番大事なのは、繰り返しになりますが教授の人柄です。研究分野でも、研究内容でも、研究成果でもないです。教授の人柄が研究室の雰囲気にも表れます。研究室が楽かどうかにもつながり、自分のQOLにもつながります。 研究内容にいくら魅力があっても、教授と相性が良くなければ研究を続けるのはしんどいです。 教授と直接話してみて、いろんな人から教授の評判を聞いて判断しましょう。 楽かどうか 研究職を目指す人で、将来のために今がんばるという人以外は、結局楽かどうかです。これは教授の人柄からくるものなので、つまるところ教授の人柄です。 とりあえず、楽なところに入っておけば間違いないです。あとは楽しくできそうかです。楽しくできそうな先輩、同期がいれば良しです。 同期のメンバー 同期のメンバーの重要性は、再度示しておきます。研究室は3年間あります。さらに進学するならそれ以上。 6年制であればOSCE、CBT、実習、国家試験など、勉強面で話せる相手は必要です。4年制で研究を頑張るなら苦楽を共にする仲間が良いに越したことはありません。相性が良い人とならストレスなく学生生活を送れると思います。なにより楽しいと思います。 最後に 自分の人生をより良くするために、最大限の情報を集めて研究室を選ぶようにしましょう。最終的には妥協することになるかもしれません。この記事がここまで読んでくださった人の足しになれば幸いです。