統合失調症
統合失調症は10〜30歳代に好発し、ドパミンの過剰放出によって思考障害、自我障害、感情障害、人格障害等をおこす内因性精神疾患である。
発症は遺伝的素因が認められることが報告されている。
症状
統合失調症は、陽性症状と陰性症状と呼ばれる症状が見られる。
急性期には、主に陽性症状が見られる。
陽性症状
- 陽性症状:イメージは「ないものがある」
- 幻覚(幻聴)
- 妄想
- 思考障害 など
陽性症状は、ドパミンの過剰放出により生じる。
陰性症状
- 陰性症状:イメージは「あるべきものがない」
- 無関心
- 自閉
陰性症状は、セロトニンの過剰放出が関わっている。
疫学的特徴
「統計的に、どのような人が発症しやすいのか」その特徴を以下に示す。
- 人種・地域に関係なく人口の1%弱 (0.7~0.8%)の人が発症
- 思春期から青年期(20代)に発症することが多い
加齢にともなって発症率は減少する - 女性は、男性より高い年齢(30~40代)で発症する傾向がある
- 片方の親が統合失調症の場合、発症リスクは12%
- 一卵性双生児の発症リスクは47%
原因
統合失調症になる原因として、次のようなものがある。
- ストレス
- 遺伝
分類
- 単純型:陰性症状が主症状
- 破瓜型:破瓜期(思春期)に発症し、陰性症状が徐々に進行していく。予後不良で人格崩壊を招きやすい。
- 緊張型:興奮や昏迷などの症状
- 妄想型:幻聴・妄想が主症状。人格は保たれていることが多い。
病態生理
- ドパミン過剰仮説
- グルタミン酸仮説
- 神経発達障害仮説
- 幻覚・幻聴を伴った奇妙な妄想や思考伝播を訴える
- 本人には、「自分が病気である」という認識がない
診断
- シュナイダーの一級症状
- ブロイラーの基本症状
- DSM-V
- ICD-10
治療
- 薬物療法が中心
- 症状の程度に応じて、同時に精神療法やリハビリテーションも実施。社会的関係性の構築を図る。
- 自殺念慮や身体衰弱など、迅速な対応が必要な場合は、電気けいれん療法(electroconvulsive therapy:ECT)を適用する場合もある。
治療薬
第一選択薬
- リスペリドン(SDA:セロトニン・ドパミンアンタゴニスト)
D2受容体と5-HT2受容体の両方を遮断
→ 陽性症状と陰性症状、両方に有効
治療目標
再発を予防しながら、社会適応能力を維持・向上させ、回復を目指す。
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