パラチオンは有機リン化合物であり、殺虫剤として用いられていたが中毒になりやすいため、現在では使用されていない。

また、パラチオンは非可逆的コリンエステラーゼ阻害薬であり、非可逆的にコリンエステラーゼ(ChE)を阻害する。

 

作用機序:非可逆的ChE阻害

パラチオン自体にコリンエステラーゼ(ChE)阻害作用があるわけではなく、P450によって代謝されてできたパラオクソンがChEを非可逆的に阻害する。

パラチオン
 ↓ P450
パラオクソン:ChEを阻害する

代謝されて作用を示すため、薬として用いられることはないがある意味プロドラッグである。

解毒薬:プラリドキシム(PAM)

  • プラリドキシム(PAM) + アトロピン

パラチオンの解毒には、プラリドキシム(PAM)とアトロピンを併用する。

コリンエステラーゼ(ChE)は、パラチオンによりエステル部位がリン酸化され、不活性化されている。

プラリドキシム(PAM)は、このリン酸基を切断することでパラチオンをChEから引き剥がし、ChEを再び活性化させる。

  1. プラリドキシム(PAM)がリン酸基を切断
  2. パラチオンがChEから離れる
  3. ChE活性が戻る

パラチオンによりChEが阻害され、アセチルコリンが蓄積されるとムスカリン様作用が強く表れる。

そのムスカリン様作用を弱めるために、副交感神経遮断薬(抗コリン薬)であるアトロピンが用いられる。

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