プロプラノロールは非選択的アドレナリンβ受容体遮断薬であり、非選択的にアドレナリンβ受容体を遮断する。

プロプラノロール塩酸塩

出典:「インデラル錠10mg」添付文書

作用機序

プロプラノロールは非選択的にアドレナリンβ受容体を遮断する。そのため、

  • β1受容体遮断作用
  • β2受容体遮断作用

両方もつ。

β1受容体遮断

プロプラノロールは各部位のβ1受容体を遮断し、以下のような作用を示す。

  • 心臓:心筋収縮力・心拍数・心拍出量↓
  • 腎傍糸球体細胞のβ1受容体遮断 → レニン分泌↓
  • 脂肪組織:リパーゼ活性化↓ → 脂肪分解↓

心機能を抑制する

プロプラノロールは心臓のβ1受容体を遮断し、心筋収縮力・心拍数・心拍出量の抑制を引き起こす。

レニンの分泌を抑制する

プロプラノロールは腎傍糸球体細胞のβ1受容体を遮断し、レニンの分泌を抑制する。

脂肪分解を抑制する

プロプラノロールは脂肪組織のβ1受容体を遮断し、リパーゼの活性を低下させ、脂肪分解を抑制する。

β2受容体遮断

プロプラノロールは各部位のβ2受容体を遮断し、以下のような作用を示す。

  • 血管平滑筋のβ2受容体遮断 → 血管収縮
  • 気管支のβ2受容体遮断 → 気管支収縮
  • 肝臓のβ2受容体遮断 → 肝グリコーゲン分解↓ → 血糖値↓
  • 中枢抑制作用:プロフラノロールは脂溶性で中枢に移行する

血管を収縮させる

プロプラノロールは血管平滑筋のβ2受容体を遮断し、血管を収縮させる。

気管支を収縮させる

プロプラノロールは気管支のβ2受容体を遮断し、気管支を収縮させる。

血糖値を下げる

プロプラノロールは肝臓のβ2受容体を遮断し、肝臓でのグリコーゲン分解を抑制する。それにより、血糖値を低下させる。

中枢抑制作用

プロプラノロールは脂溶性で中枢に移行するため、中枢抑制作用がある。

適応

  • 狭心症
  • 期外収縮(上室性、心室性)
  • 高血圧症

労作型狭心症の第一選択薬

プロプラノロールは労作型狭心症の第一選択薬であるが、安静型狭心症を悪化させることがある。

禁忌

  • 気管支ぜん息
  • うっ血性心不全

副作用

  • 徐脈
  • 血糖低下
  • 間欠性肢行
  • 四肢冷却

血糖低下

プロプラノロールは肝臓のβ2受容体を遮断し、肝臓でのグリコーゲン分解を抑制するため、副作用に「血糖低下」がある。

そのため、糖尿病患者でインスリンや経口糖尿病治療薬と併用する際には注意する必要がある。

四肢冷却

プロプラノロールの副作用として「四肢冷却」がある。

これは、プロプラノロールが骨格筋の血管のβ2受容体を遮断し、a1作用が優位になるためである。

ISA(-), MSA(+)

プロプラノロールには内因性交感神経刺激作用(ISA)がなく、膜安定化作用(MSA)はある。

医療用医薬品

  • インデラル錠10mg
  • インデラル注射液2mg
  • ソラシロール錠10mg
  • プロプラノロール塩酸塩錠10mg「ツルハラ」
  • ヘマンジオルシロップ小児用0.375%