ピンドロールは非選択的アドレナリンβ受容体遮断薬であり、非選択的にアドレナリンβ受容体を遮断する。

ピンドロール

出典:「カルビスケン錠5mg」添付文書

作用機序

ピンドロールは非選択的にアドレナリンβ受容体を遮断する。そのため、

  • β1受容体遮断作用
  • β2受容体遮断作用

両方もつ。また、内因性交感神経刺激作用ISA)もある

β1受容体遮断

ピンドロールは各部位のβ1受容体を遮断し、以下のような作用を示す。

  • 心臓:心筋収縮力・心拍数・心拍出量↓
  • 腎傍糸球体細胞のβ1受容体遮断 → レニン分泌↓
  • 脂肪組織:リパーゼ活性化↓ → 脂肪分解↓

心機能を抑制する

ピンドロールは心臓のβ1受容体を遮断し、心筋収縮力・心拍数・心拍出量の抑制を引き起こす。

レニンの分泌を抑制する

ピンドロールは腎傍糸球体細胞のβ1受容体を遮断し、レニンの分泌を抑制する。

脂肪分解を抑制する

ピンドロールは脂肪組織のβ1受容体を遮断し、リパーゼの活性を低下させ、脂肪分解を抑制する。

β2受容体遮断

ピンドロールは各部位のβ2受容体を遮断し、以下のような作用を示す。

  • 血管平滑筋のβ2受容体遮断 → 血管収縮
  • 気管支のβ2受容体遮断 → 気管支収縮
  • 肝臓のβ2受容体遮断 → 肝グリコーゲン分解↓ → 血糖値↓
  • 中枢抑制作用:プロフラノロールは脂溶性で中枢に移行する

血管を収縮させる

ピンドロールは血管平滑筋のβ2受容体を遮断し、血管を収縮させる。

気管支を収縮させる

ピンドロールは気管支のβ2受容体を遮断し、気管支を収縮させる。

血糖値を下げる

ピンドロールは肝臓のβ2受容体を遮断し、肝臓でのグリコーゲン分解を抑制する。それにより、血糖値を低下させる。

中枢抑制作用

ピンドロールは脂溶性で中枢に移行するため、中枢抑制作用がある。

 

ISA(+)である

ピンドロールは、内因性交感神経刺激作用(ISA)ももつ。

つまり、ピンドロールは非選択的にβ受容体を遮断するが、β受容体をわずかに刺激する作用もあるということである。

そのためISAをもつ薬は、徐脈や四肢冷却といった副作用を起こしにくい、という特徴がある。

ISAについて詳しくは内因性交感神経刺激作用(ISA)で説明している。

 

禁忌

  • 気管支ぜん息
  • うっ血性心不全

関連

プロプラノロール

ピンドロールと同じ非選択的アドレナリンβ受容体遮断薬は、ほかにプロプラノロールがある。

ピンドロールとプロプラノロールの違いとしては、

  • ピンドロール:ISA(+), MSA(-)
  • プロプラノロール:ISA(-), MSA(+)

このようにピンドロールはISAをもつがプロプラノロールはISAを持たない、という点がある。