トロピカミド
トロピカミドは副交感神経遮断薬(抗コリン薬)であり、副交感神経を抑制する作用があり、散瞳(瞳孔が開く)作用を示す。
そのため、眼の検査の際に瞳孔を開かせる散瞳薬として用いられる。
「アトロピン代用薬」という分類になる。
トロピカミドは3級アミンである。
作用機序
トロピカミドには以下のような作用がある。
- 瞳孔括約筋を弛緩させる作用
- 毛様体筋を弛緩させる作用
瞳孔括約筋弛緩 → 散瞳
トロピカミドは瞳孔括約筋を弛緩させ、散瞳(瞳孔が開く)させる。
毛様体筋弛緩
トロピカミドは毛様体筋を弛緩させ、以下のような作用を示す。
- 水晶体が薄くなる
→ 遠視性調節麻痺 - シュレム管閉塞
→ 眼房水流出↓
トロピカミドにより毛様体筋が弛緩され、水晶体が薄くなり、遠視性の調節が麻痺する。
また、シュレム管が閉塞し、眼房水の流出が抑制される。
作用持続時間が短い → 眼の検査に
眼の検査の際、散瞳薬により散瞳させる場合がある。この散瞳作用は検査のときだけ効いて、長く持続しないほうが都合がよい。
散瞳作用をもつ副交感神経遮断薬(抗コリン薬)の代表はアトロピンだが、アトロピンの散瞳作用は数日も持続し、眼の検査には不適切である。
対して、トロピカミドの作用持続時間はアトロピンよりも短いため、検査に適する。
作用持続時間の比較
点眼により散瞳作用を示す副交感神経遮断薬(抗コリン薬)の作用持続時間を比べると、以下のようになる。
作用持続時間の長い順に示している。
- アトロピン:作用持続時間長い
- ホマトロピン
- シクロペントラート
- トロピカミド:作用持続時間短い
適応
- 診断又は治療を目的とする散瞳と調節麻痺
関連
眼の平滑筋に作用する副交感神経興奮・抑制薬を以下にまとめる。
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