精神疾患とは?

特徴

精神は脳が司っているため、精神疾患というのは、中枢神経の異常が原因であると考えられている。しかし、

  • 原因や病態生理について、明らかになっていないものが多い

 

また、疾患と判断するための

  • 疾患バイオマーカー
  • 画像検査診断基準

といったものの確立が求められている。

 

症状

精神疾患で見られる症状としては、次のようなものがある。

  1. 意識障害
  2. 知的機能障害
  3. 知覚障害
  4. 思考障害
  5. 記憶障害
  6. 感情・気分障害
  7. 行動障害

1. 意識障害

外部の刺激に対して適切な反応ができない状態。

物事に対して正しい理解・判断ができないこと。

 

2. 知的機能障害

外部から入ってきた情報を統合して、適切に処理する機能が障害されている状態。

たとえば、

  • 痴呆
  • 精神遅滞

がある。

 

3. 知覚障害

外部の情報を認知する機能が低下する状態。

間違えて認識したり、幻覚が見えたりする。

 

4. 思考障害

  • 思考過程
  • 思考内容
  • 思考表現

といったものに異常が起こる状態。

  • 妄想
  • 強迫
  • 支配

こういった思考になる。

 

5. 記憶障害

記憶が障害される状態のこと。

脳での、情報を記憶し、その情報を引き出す機能が低下する。

 

6. 感情・気分障害

  • 興奮
  • 怒り
  • 恍惚感
  • 過剰な爽快感
  • 抑うつ
  • 不安
  • 感覚鈍麻

といった異常な気分を生じる状態。

 

7. 行動障害

  • 摂食
  • 睡眠
  • 排泄
  • 性機能

といった行動に異常をきたす状態。

ほかに、「万引きをせずにはいられない」といった衝動性が現れることもある。

 

診断

主な診断方法としては、

「面接によって患者の観察を行う」

というものである。

 

治療

治療は、薬を用いるのが中心である。

 

  • 多剤処方
  • 副作用

これらの問題も大きく、注意が必要である。

 

分類

精神疾患の分類で、正式な国際分類は次のものがある。

  • ICD-10(International Classification of Disease):WHOによる
  • DSM-V(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disease):米国精神医学会による

 

精神疾患の分類は次のようになっている。

  • 身体要因
    • 外因性(外部からの物理的刺激・薬物・疾患など)
    • 内因性(遺伝的・生物学的な要因)
  • 心理要因
    • 心因性(周りの環境・社会からの心理的な刺激・性格の傾向など)

 

※病態を表す言葉として、次のようなものがある。

  • 器質性 : 明らかに分かる、脳の構造の変化を伴う
  • 機能性 : 明らかな脳の構造変化が見られない

 

外因性精神疾患

外部からの物理的刺激・薬物・疾患などによる精神疾患のことである。

次の分け方がある。

器質性

器質性の精神疾患である。つまり、脳の構造が変化することで精神疾患になるもののことをいう。

例として、次のようなものがある

  • アルツハイマー病
  • ピック病(若年性認知症)
  • 脳血管障害
  • 感染性・炎症性疾患
  • 脳腫瘍
  • 頭部外傷
  • 神経変性疾患

症状性

症状性の精神疾患である。つまり、疾患の症状によって起きる精神疾患のことである。

例として、次のようなものがある。

  • 内分泌疾患(下垂体・甲状腺・副腎皮質機能異常・女性性腺機能変動に伴う精神症状など)
  • 代謝障害(ウェルニッケ脳症、ペラグラ、糖尿病)
  • 肝臓・腎臓疾患(肝性脳症、尿毒症)
  • 膠原病・自己免疫疾患(ループス精神病)

中毒性

中毒性の精神疾患である。つまり、中毒により精神疾患になるもののことである。

例として、次のようなものがある。

  • アルコール関連精神障害
  • 薬物依存

 

内因性精神疾患

内因性の精神疾患である。つまり、遺伝的・生物学的な要因による精神疾患のことである。

例として、次のようなものがある。

  • 統合失調症
  • 気分障害
  • パーソナリティ障害
  • 発達障害
  • てんかん

心因性精神疾患

心因性の精神疾患である。つまり、周りの環境や社会からの心理的刺激などにより、心が揺さぶられて陥る精神疾患のことである。

心因性精神疾患には、次のようなものがある。

  • 神経症
  • 心因反応
  • 心身症

 

神経症

神経症として、次のようなものがある。

  • 不安神経症(パニック障害・全般性不安障害)
  • 恐怖症
  • 強迫性障害
  • 解離性障害

心因反応

心因反応として、次のようなものがある。

  • 急性ストレス反応
  • 外傷後ストレス障害(PTSD)

心身症

心身症には、次のようなものがある。

  • 高血圧
  • 気管支喘息
  • 消化性障害
  • 過敏性腸症候群