Ca拮抗薬は血管平滑筋や心筋のL型Ca2+チャネルを遮断することで、血圧を低下させる高血圧治療薬として用いられている。

降圧効果が強力なことや副作用が小さいことによりたくさんの症例で第一選択薬として使用されている。

以下にニフェジピンの構造を示す。

Nifedipine.svgニフェジピン

出典:Wikipedia「ニフェジピン」

Ca拮抗薬の分類

Ca拮抗薬は、以下の2つに分類できる。

  • ジヒドロピリジン系
  • ベンゾジアゼピン系

ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬

ジヒドロピリジン系のCa拮抗薬としては以下のものがあげられる。

  • ニフェジピン
  • 二トレンジピン
  • ニカルジピン
  • フェロジピン
  • アムロジピン
  • シルニジピン
  • マニジピン

この他にも「~ジピン」という医薬品がジヒドロピリジン系のCa拮抗薬に該当する。

 

作用機序

ジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬には以下の作用があげられる。

  • 血管平滑筋の電位依存性L型Ca2+チャネル遮断作用
  • L型Ca2+チャネル遮断作用に加え、交感神経終末に存在するN型Ca2+チャネル遮断作用(シルニジピン)

血管平滑筋の電位依存性L型Ca2+チャネル遮断作用

  1. 血管平滑筋の電位依存性L型Ca2+チャネルを遮断する。
  2. 細胞内へのCa2+の流入量を減少させる。
  3. 血管を拡張させることにより降圧作用を示す。

 

交感神経終末に存在するN型Ca2+チャネル遮断作用(シルニジピン)

  1. 交感神経終末に存在するN型Ca2+チャネルを遮断する。
  2. 神経終末からのノルアドレナリン遊離を抑制する
  3. 交感神経の活動を低下させることで降圧作用に関わる。

 

適応

ジヒドロピリジン系のCa拮抗薬には適応として以下のものがあげられる。

  • 高血圧症
  • 狭心症(ニフェジピン、アムロジピンなど)

 

副作用

ジヒドロピリジン系のCa拮抗薬の副作用としては以下のものがあげられる。

  • 反射性頻脈
  • 頭痛
  • 顔面紅潮
  • 動悸
  • 浮腫

なお、反射性頻脈はN型Ca2+チャネル遮断作用を併せ持つシルニジピンや、作用時間が長いアムロジピンでは起こりにくい。

 

禁忌

妊婦に使用するのは危険であるため、禁忌である。

 

ベンゾジアゼピン系Ca拮抗薬

ベンゾジアゼピン系のCa拮抗薬としては、ジルチアゼムがあげられる。

作用機序

ベンゾジアゼピン系のCa拮抗薬には以下の作用があげられる。

  • 血管平滑筋及び心筋の電位依存性L型Ca2+チャネル遮断作用

この作用によって血圧を決める因子である末梢血管抵抗及び心拍出量を低下させる。

(血圧=心拍出量×末梢血管抵抗)

 

適応

ベンゾジアゼピン系のCa拮抗薬には適応としては以下があげられる。

  • 高血圧症
  • 狭心症
  • 不整脈

 

副作用

ベンゾジアゼピン系のCa拮抗薬の副作用としては以下のものがあげられる。

  • 心不全
  • 洞停止
  • 徐脈
  • 房室ブロック

 

禁忌

ジルチアゼムは副作用に心機能を抑制する作用があり、そのため心不全や高度(Ⅱ度以上)の房室・洞房ブロックには禁忌となっている。

また妊婦にも同様に禁忌である。