膜安定化作用(MSA)
膜安定化作用(MSA)とは、Na+が細胞内に流入するのを阻害する作用のことである。
膜安定化作用(MSA)は言葉通り、以下のようになっている。
MSA:Membrane stabilizing activity
- Membrane:膜、膜組織
- stabilizing:安定化
- activity:作用
局所麻酔薬はNa+チャネルを阻害して細胞内へのNa+流入を阻害するため、膜安定化作用(MSA)は局所麻酔作用ともいう。
膜安定化作用(MSA)は、アドレナリンβ受容体遮断薬が持つ作用として取り上げられる。
「膜安定化」とは?
膜安定化作用(MSA)の「膜安定化」とはどういうことか?
静止膜電位は普段分極状態で保たれているが、Na+が細胞内に流入することで脱分極が起き、電位の変化が起きる。
膜安定化作用(MSA)というのは「Na+が細胞内に流入するのを阻害する作用のこと」である。
Na+の細胞内への流入を阻害することで電位の変化を抑え、「細胞膜を安定化」しているのではないか。
MSAによるノルアドレナリン遊離阻害
膜安定化作用(MSA)により、ノルアドレナリンの遊離は阻害される。
不整脈の治療にMSAは必須ではない
アドレナリンβ受容体遮断薬のなかには不整脈に用いられる薬もある。
不整脈の治療薬に、Na+チャネルを阻害する薬がある。
β受容体遮断薬の膜安定化作用(MSA)は「Na+が細胞内に流入するのを阻害する作用」であるため、膜安定化作用(MSA)は抗不整脈に重要だと考えられていた。
しかし、
- 膜安定化作用(MSA)によって不整脈に効果があるわけではない
- 臨床で用いる量では膜安定化作用(MSA)が期待できない
このようなことから、「抗不整脈作用としてMSAは必須ではない」と言える。
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