副交感神経の伝達(コリン作動性シナプスの伝達機構)
ここでは、副交感神経の伝達(コリン作動性シナプスの伝達機構)を説明している。
具体的に、副交感神経の神経伝達物質であるアセチルコリン(ACh)の遊離の流れや分解、再利用ついてもまとめている。
目次 (項目へとびます)
副交感神経とは?:コリン作動性神経
副交感神経とは、イメージでいうと「リラックスしているときにはたらく神経系」のことである。
落ち着いているとき、リラックスしているときは、「副交感神経がはたらいている」と言える。
実際の副交感神経は、
- 中脳
- 橋
- 延髄
- 仙髄
から出ている。
副交感神経の伝達
副交感神経は、アセチルコリン(Ach)によって作動する「コリン作動性神経」である。
つまり、アセチルコリンが神経伝達物質として伝達を担うということである。
そのため、副交感神経節後繊維の神経終末からはアセチルコリンが放出され、効果器のムスカリン受容体に作用して伝達される。
副交感神経の節前繊維は長く、節後繊維は短い(交感神経は逆)
副交感神経のコリン作動性神経は、
- 節前繊維は長く、
- 節後繊維は短い
という特徴がある。
ちなみに交感神経は逆で、
- 節前繊維は短く、
- 節後繊維は長い
このようになる。これは、イメージとしては以下のようになる。
- 副交感神経は、リラックス状態で細かく調節できるように神経節が臓器に近い
- 交感神経は、興奮状態で一気に調節できるように神経節がより伝達元に近いところにある(=臓器から遠い)
コリン作動性シナプスでのAChの流れ
コリン作動性シナプスとは、アセチルコリン(ACh)が神経伝達物質として放出される(神経)細胞間のシナプスのことである。
小さい部分の話である。
細胞間ではたらくアセチルコリンはどのようにシナプスに放出され、どういった末路を辿るのか説明する。全体的な流れは以下のようになる。
- AChがシナプスに遊離される
- AChが作用する
- AChが分解される
- 分解物のコリンが細胞内にとりこまれ、再利用される
ACh遊離の流れ
コリン作動性シナプスにおけるアセチルコリン(ACh)の遊離は、以下のように起きる。
- 細胞内へCa2+流入:
神経終末にインパルスが伝わってくると膜が脱分極し、Ca2+が細胞内に流入する - AChの遊離(開口分泌:エキソサイトーシス):
細胞質Ca2+上昇によってシナプス小胞が細胞膜に融合し、AChが遊離される - 遊離したAChはムスカリン性アセチルコリン(M)受容体を刺激し、作用を示す
まず、神経終末にインパルスが伝わってくると膜が脱分極し、それによりCa2+が細胞内に流入する。
細胞内のCa2+濃度が上昇すると、AChが貯蔵されているシナプス小胞が細胞膜に融合し、AChがシナプスへ遊離される。
(小胞が細胞膜に融合し、その中身が細胞外へ放出されることを開口分泌(エキソサイトーシス)という)
シナプスに遊離されたAChはムスカリン性アセチルコリン(M)受容体を刺激し、副交感神経興奮作用を示す。
このような流れになる。
AChの分解
ムスカリン性アセチルコリン(M)受容体に作用しなかったアセチルコリン(ACh)は、コリンエステラーゼ(ChE)によりコリンと酢酸に分解される。
アセチルコリン(ACh)
↓ コリンエステラーゼ(ChE)
コリン + 酢酸
AChの再利用:コリン → ACh
分解されたコリンは神経内に取り込まれ、コリンアセチルトランスフェラーゼ(コリンアセチラーゼ)によりアセチルコリンに変換され、再利用される。
コリン
↓ コリンアセチルトランスフェラーゼ(コリンアセチラーゼ)
アセチルコリン(ACh)
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