アドレナリン
アドレナリンは内因性カテコールアミンであり、副腎髄質からホルモンとして分泌され、アドレナリンα,β受容体を刺激する。
アドレナリン
出典:Wikipedia「カテコールアミン」
アドレナリンは血液脳関門は通過しないため、中枢作用はない。
アドレナリンの作用
循環器作用
心機能亢進作用
アドレナリンは心臓のβ1受容体を刺激し、心臓の機能を亢進させる。
- 心筋収縮力↑
- 心拍数↑
- 心拍出量↑
血圧上昇作用
アドレナリンには血圧を上げる作用がある。
詳しく言うと、それぞれの血管でアドレナリンα,β受容体の優位性が違うため、以下のようにアドレナリンの作用が異なる。
- 収縮作用
- 皮膚血管:α1
- 内臓の血管:α1 > β2
- 拡張作用
- 骨格筋血管・冠血管:β2 > α
血圧上昇作用は、血管収縮作用(α作用)が血管拡張作用(β2作用)より強く現れるために起こる。
アドレナリンは骨格筋血管や冠血管を拡張させる。しかし、急速静注すると収縮期血圧が上昇し、それが拡張期血圧を上回るため、血圧は上昇する。
アドレナリンによる血圧上昇の機序は以下のようになっている。
- α1受容体刺激による血管収縮作用
- β1受容体刺激による心機能亢進
低用量の投与の場合、骨格筋・冠血管のβ2受容体に対する作用が強く現れる。そのため、末梢血管抵抗が減少し、血圧は低下する。
高用量の投与の場合、α1作用による血管収縮作用が強く出る。そのため、末梢血管抵抗が増大し、血圧は上昇する。
アドレナリンの血圧反転
「アドレナリンの血圧反転」という現象がある。
これは、「α受容体遮断薬を投与した後にアドレナリンを投与すると、β2作用だけが現れ、血圧は下降する」という現象である。
血管以外の平滑筋への作用
アドレナリンは、血管以外の平滑筋に対しても以下のように作用する。
- 散瞳させる(瞳孔散大筋を収縮):α1
- 気管支平滑筋を弛緩させる:β2
- 消化管平滑筋を弛緩させる:α、β2
- 胃腸管機能を低下させる:β2
- 子宮平滑筋を弛緩させる:β2
- 排尿筋を弛緩させ、膀胱括約筋を収縮させるため、尿の排泄を抑える
代謝
アドレナリンは代謝にも関わり、その作用は以下のようになっている。
- 血糖値の上昇
- 肝(β2)のグリコーゲン分解を促進
- α2受容体を介するインスリン分泌抑制作用
- 血中遊離脂肪酸濃度を上昇させる:
- 脂肪組織のリパーゼを活性化し、脂肪分解を促進
適応
アドレナリンは以下のようなものに対して適応がある。
- 気管支ぜん息
- 各種疾患もしくは状態に伴う急性低血圧又はショック時の補助治療
- 局所麻酔薬の作用延長
- 心停止の補助治療
- 蜂毒、食物及び薬物等に起因するアナフィラキシー反応に対する補助治療
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