溶解が拡散律速のときの溶解速度について

Nernst-Noyes-Whitney式

固体の溶解過程が拡散律速の場合、溶解速度dC/dtは以下のNernst-Noyes-Whitney式で示される。

$$\frac { dC }{ dt } =\frac { D\cdot S }{ V\cdot \delta } \cdot \left( { C }_{ S }-C \right) $$

  • D:溶液の拡散係数
  • V:溶液の容積
  • δ:拡散層の厚さ

溶解速度dC/dtは、固体の表面積Sと、拡散層の濃度勾配(Cs-C)/δ に比例する。

Noyes-Whitney式

Nernst-Noyes-Whitney式において、D、V、δを一定として、 k(見かけの溶解速度定数)としてまとめた式がNoyes-Whitney式である。

  • D/V・δ を k としてまとめると
    Nernst-Noyes-Whitney式 → Noyes-Whitney式

固体薬物の溶解速度は以下のNoyes-Whitney式で表される。

$$\frac { dC }{ dt } =k\cdot S\cdot \left( { C }_{ S }-C \right) $$

  • C:時間tにおける溶解した溶液中の薬物濃度
  • k:溶解速度定数
  • S:固体の表面積
  • Cs:薬物の溶解度

薬物が消化管で溶解するとすぐに吸収される場合、常にCs≫C(シンク条件)が成立するため、以下のように変換される。

$$\frac { dC }{ dt } ≒k\cdot S\cdot { C }_{ S }$$

よって、溶解速度に影響する製剤的な因子は主に薬物の表面積(S)と溶解度(Cs)である。