ヒトは、人それぞれで薬物代謝能力が異なる。

その一つに、アセチル化能の違いがある。

薬物のアセチル化を行う酵素としてN-アセチルトランスフェラーゼがあるが、この酵素の個体差は次のように大別される。

  • RARapid Acetylator(アセチル化能が高い個体)
  • SASlow Acetylator(アセチル化能が低い個体)

これらの個体差というのは人種によっても違う。例えばSAの発現頻度は、次のようになる。

  • 日本人:約10%
  • 白人:約50%

ちなみに結核の薬であるイソニアジドは、N-アセチルトランスフェラーゼによってアセチル化を受けて代謝され、不活性化される。

そのため、イソニアジドはRAの人、SAの人によって代謝が異なり、血中濃度の推移が異なる。つまりRAかSAによって、効果の出方に影響してくるということである。