腸肝循環とは、胆汁中に排泄された薬物が小腸から再び吸収されることである。

薬物が小腸から吸収され、再び肝臓から腸に排泄される。このように、薬物が腸と肝で循環することが腸管循環である。

詳しく・・・

薬物は消化管から吸収され、肝臓に行き、代謝によって抱合反応を受ける。その抱合体は胆汁中に排泄され、十二指腸に排泄される。

消化管では、体内の酵素や腸内細菌が酵素(β-グルクロニダーゼなど)を産生している。

これらの酵素により、抱合体は脱抱合(加水分解)を受け、再び未変化体となって消化管より吸収されることがある。

このように、胆汁中に排泄された薬物が、小腸から再び吸収されることを腸肝循環という。

腸肝循環する薬物の特徴

腸肝循環する薬物を経口投与した場合、血中濃度時間曲線には、

  • ニ峰性
  • ショルダー(肩)

が見られることが多い。

これは、吸収された薬物が腸肝循環により腸に戻り、再び吸収されて血中濃度が上がるためである。

腸肝循環を受けにくい薬物

  • カナマイシン(アミノグリコシド系抗生物質)
  • バンコマイシン

これらの薬は、消化管吸収がとても悪いため、腸肝循環を受けにくい。