シトクロムP450
シトクロムP450(CYP)
目次 (項目へとびます)
CYPはどこにあるのか?
シトクロムP450(CYP)は薬物代謝酵素であることからもわかるが、肝臓に最も多く存在している。他にも、
- 腎臓
- 肺
- 小腸
など、多くの臓器に存在している。
細胞内では、小胞体(細胞内画分ではミクロソーム)に多い。他にも、
- ミトコンドリア
- 核膜
- ゴルジ体
- リボソーム
といった細胞小器官にも存在する。
CYPの特徴
- 薬物代謝の第Ⅰ相反応にかかわる(第Ⅱ相反応には関わらない)
- 複数の分子種が存在する
- 人種によって差がある
- 動物によって差がある
- 遺伝子多型(一塩基多型など)が見られる
CYPの分子種
CYPには、様々な分子種が存在する。
CYP3A4
CYP3A4は、CYPの中で最も多く存在し、最も多くの薬物代謝にかかわっている。
CYP3A4によって代謝される薬は、次のようなものがある。
- カルシウム拮抗薬
- ニフェジピン
- フェロジピン
- ベラパミル
- アゼルニジピン
- シルニジピン
- ベニジピン
- スタチン系
- アトルバスタチン
- シンバスタチン
- 免疫抑制薬
- シクロスポリン
- タクロリムス
- 睡眠薬
- トリアゾラム
CYP2C9
- S-ワルファリン
CYP2C19
- オメプラゾール
CYP2D6
- イミプラミン
シトクロムP450(CYP)を誘導するもの
- 主にCYP3A4を誘導するもの
- リファンピシン
- 主にCYP2E1を誘導するもの
- エタノール
- イソニアジド
- 主にCYP1A2を誘導
- オメプラゾール
シトクロムP450(CYP)を阻害するもの
グレープフルーツ(ジュース)
グレープフルーツ(ジュース)は、CYP3A4を阻害する。
マクロライド系抗生物質
マクロライド系抗生物質の代謝物は、CYPを不可逆的に阻害して失活させる。
マクロライド系抗生物質の代謝物は、CYPの活性中心である鉄と複合体(ニトロソアルカン)を形成する。それによりCYPを不可逆的に阻害し、失活させる。
イミダゾール骨格、トリアゾール骨格などをもつ薬
イミダゾール骨格、トリアゾール骨格などをもつ薬は、CYPの活性を阻害する。これらの薬は、CYPの活性中心のヘム鉄第6配座子に結合し、CYPの活性を阻害する。
イミダゾール骨格、トリアゾール骨格などをもつ薬は次のようなものがある。
- シメチジン
- アゾール系抗真菌薬 など
スポンサーリンク