ドパミン(ドーパミン)
ドパミンは混合型アドレナリン作動薬であり、
このように、直接作用と間接作用を合わせもつため「混合型」である。
ドパミン塩酸塩
出典:「ドパミン塩酸塩点滴静注液100mg「ファイザー」」添付文書
目次 (項目へとびます)
ドパミンは神経伝達物質
ドパミンは中枢神経の黒質-線条体系の神経伝達物質としてもはたらく。
黒質-線条体系のドパミンが不足すると、パーキンソン病になってしまう。
詳しく言うと、パーキンソン病は、中脳の黒質ドパミン作動性神経の変性により、ドパミンが不足することで起きる。
直接作用
ドパミンは以下の受容体への直接的な作用があり、用量によって作用は変わる。
- α1受容体
- β1受容体
- D1受容体
- D2受容体
少量:腎血管のD1受容体に作用
ドパミンが少量の場合、腎血管のD1受容体に作用する。
そのため、腎血管や内臓血管が拡張し、血流量が増える。
- 少量
- 腎血管のD1受容体に作用
- 腎血管や内臓血管が拡張
- 血流量↑
中等量:心臓のβ1受容体に作用
ドパミンが中等量の場合、心臓のβ1受容体に作用する。
そのため、心筋収縮力が増強し、心拍出量をが増える。
- 中等量
- 心臓のβ1受容体に作用
- 心筋収縮力が増強し、心拍出量をが増える
大量:α1作用 > D1作用・β1作用
ドパミンが大量の場合、α1作用がD1作用とβ1作用より優位になる。
そのため、血管収縮を起こす。
α1作用 > D1作用・β1作用
→ 血管収縮
間接作用
ドパミンは混合型アドレナリン作動薬であり、直接作用のほか、間接作用も有する。
ドパミンは神経終末からノルアドレナリンの遊離を促進する作用もある。
ドパミンの間接作用は中等量のときである。
適応
- 急性循環不全
- 心原性ショック
- 出血性ショック
ドパミンの生合成
ドパミンは内因性カテコールアミンであり、カテコールアミンの体内での生合成の流れを以下に示す。
出典:Wikipedia「カテコールアミン」
流れを整理すると、以下のようになる。
カテコールアミン生合成の流れ
- チロシン
↓ チロシン水酸化酵素 - レボドパ
↓ レボドパ脱炭酸酵素や芳香族L-アミノ酸脱炭酸酵素 - ドパミン
↓ ドパミンβ-水酸化酵素 - ノルアドレナリン
↓ フェニルエタノールアミン-N-メチルトランスフェラーゼ - アドレナリン
ドパミンはレボドパから作られ、ノルアドレナリンに変換される。
ドパミンが関わる病気
統合失調症
統合失調症は、中脳のドパミン過剰放出による。
パーキンソン病
パーキンソン病は、中脳の黒質ドパミン作動性神経の変性により、ドパミンが不足することによる。
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