播種性血管内凝固症候群(DIC)
播種性血管内凝固症候群(DIC)では、「播種性血管内凝固」とあるように、血液凝固系が亢進し、全身に微小血栓を形成する。
播種性血管内凝固症候群(DIC)は、なんらかの基礎疾患をもとに血管内凝固の活性化が起こり、全身に微小血栓が形成される。
その主な基礎疾患は、悪性腫瘍性疾患である。
※播種(はしゅ)
※DIC:Disseminated Intravascular Coagulation
目次 (項目へとびます)
DICのおおまかな流れ
ポイントは、DICは
- 血液凝固系の亢進
- 二次的線溶系の亢進
を起こすことである。
全身に微小血栓が形成されるため、凝固因子や血小板が消費され、減少する。
血栓がたくさん作られているため、それを溶かそうと線溶系が亢進する。そのため、二次的に出血が起こる。
症状
DICの症状としては、次が挙げられる。
- 多臓器不全
- 出血
多臓器不全
多臓器不全は、微小血栓が形成されることによる。
出血
DICの出血は、次のような原因で起きる。
- 二次的線溶系亢進
- 凝固因子の不足
- 血小板の不足
特徴
DICのポイントは次の2点である。
- 血液凝固系の亢進
- 二次的線溶系の亢進
そのため、DICの特徴は次のようなものがある。
- プロトロンビン時間が延長する
- 血小板が減少する
- フィブリノーーゲンが減少する
- フィブリン分解産物(FDP)が増加する
- アンチトロンビンⅢ(ATⅢ)が減少する
DICでは凝固因子が消費され、プロトロンビン時間は延長する。
全身の血液凝固が亢進し、血液凝固因子と血小板が大量に消費されることで、血小板は減少する。
血液凝固が亢進し、大量のフィブリノーゲンが消費され、減少する。
二次的線溶系が亢進し、フィブリンの分解が促進されることで、フィブリン分解産物(FDP)が増加する。
凝固因子が活性化されることで、アンチトロンビンⅢ(ATⅢ)は大量に消費され、減少する。
治療
第一選択薬:ヘパリン
DICの第一選択薬は、ヘパリンである。
ヘパリンは、アンチトロンビンⅢ(ATⅢ)を活性化して抗凝固作用を示す。
アンチトロンビンⅢと併用
多くの場合、ヘパリンはアンチトロンビンⅢと併用される。これは、DICではアンチトロンビンⅢ(ATⅢ)は大量に消費され、減少するからである。
また、DIC患者ではATⅢ活性が低下していることが多いというのもある。
トロンビン活性阻害薬
- ガベキサート
- ナファモスタット
DICでワルファリンを用いないワケ
血液凝固を抑制する薬にワルファリンがあるが、ワルファリンはDICに用いない。
ワルファリンはビタミンKと拮抗することでプロトロンビン(血液凝固因子)の生合成を阻害する。
DICでは血液凝固系が亢進しており、凝固因子が不足している。
そのため、血液凝固因子の合成を阻害するワルファリンはDICに用いない。
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