全身麻酔薬は、次の2つに大別される。

  1. 吸入麻酔薬
  2. 静脈麻酔薬

全身麻酔に必要な作用

全身麻酔のために、全身麻酔薬には次の3つの作用が必要である。

  1. 鎮痛作用
  2. 麻酔作用
  3. 筋弛緩作用

※筋肉を弛緩させるためには、脊髄の抑制が必要である。

中枢抑制が現れる順序

全身麻酔で中枢抑制が現れる順は次のようになっている。

  1. 大脳皮質
  2. 間脳
  3. 中脳
  4. 脊髄
  5. 延髄

順番の基本的なイメージは、「上から下

中枢神経は体の上から順に次のようになっている。

  1. 大脳(大脳皮質)
  2. 間脳(視床、視床下部)
  3. 脳幹(上から中脳、橋、延髄)
  4. 脊髄

このように、中枢神経の上から下へと順に中枢抑制が現れる。

ここで注意すべきは、延髄の下が脊髄であるのに、脊髄→延髄の順に中枢抑制が現れるようにするである。延髄を最後に抑制するのは大切である。

延髄を最後に抑制する理由

延髄を抑制すると中毒がおこる。そのため、延髄を最後に抑制する。

全身麻酔薬が不規則的下行性麻痺をおこす理由

全身麻酔薬は、不規則的下行性麻痺をおこす。規則的に麻痺をおこすと良くない理由があるからである。

規則的に麻痺がおこった場合、延髄→脊髄の順で抑制されてしまう。

上でも述べたが、延髄を抑制すると中毒がおこるため、延髄は最後に抑制すべきである。規則的に麻痺がおこると先に延髄を抑制してしまうため、規則的な麻痺は都合が悪い

そのため、全身麻酔に用いる全身麻酔薬は、不規則的下行性麻痺をおこすようになっている。