ここでは、神経細胞の興奮伝達について説明する。

静止膜電位

神経細胞の興奮伝達について知るには、まず神経細胞の「静止電位」について知っておく必要がある。

神経細胞膜の電位は、静止状態(刺激なしの状態)では、

  • 内側:-
  • 外側:+

このように分極している。

この、静止状態での細胞膜の電位を「静止電位」という。

細胎内の電位は、細胞外に対して-50~-90 mVである。

静止電位は、細胞内外のNa+とK+の濃度差によって生じる。

Na+/K+-ATPaseがNa+を細胞外へ、K+を細胞内へ汲み出しているので、細胞内外のNa+とK+の濃度は、

  • 細胞外Na+濃度:高
  • 細胞内K+濃度:高

となっている。

「細胞にNa+が多く,細胞にK+が多い」となる。

  • 外:Na+
  • 内:K+

興奮伝導の流れ

神経細胞における興奮伝達の流れは、おおまかには以下のようになる。

  1. Na+が細胞内に流入
  2. 脱分極する
  3. 活動電位により発生した局所電流が周りを脱分極させる
  4. 興奮が伝達される

さらに詳しい段階を踏まえると以下のようになる。

  1. 静止電位を保っている(分極状態)
  2. 神経興奮 → Na+の透過性↑
  3. 細胞内にNa+流入 → 膜電位は0 mVに近づく
  4. 分極がなくなり、脱分極する → 活動電位発生
  5. 局所電流が発生する → 周囲を脱分極(興奮)させる
  6. 興奮が伝達される
  7. (活動電位の再分極:細胞内K+流出)

① 静止電位(分極状態)

すでに「静止膜電位」の項目でも説明したが、

神経細胞膜の内側は―(マイナス)、外側は+(プラス)に分極している。

  • 内側:―
  • 外側:+

さらに、「細胞にNa+が多く、細胞にK+が多い」である。

  • 外:Na+
  • 内:K+

刺激がない静止状態の静止電位は、このように分極状態が保たれている。

② 細胞内にNa+が流入し、活動電位が発生する

神経が興奮すると、細胞膜のNa+透過性が上昇して、細胞内にNa+が流入する。

(細胞外に多く存在するNa+が細胞内へ流入)

すると膜電位は0 mVに近づき、分極伏態がなくなって脱分極が生じる。

その結果、活動電位が発生する。

③ 発生した局所電流がさらに脱分極させ、興奮を伝達する

興奮により脱分極した部分では、周りの興奮していない部分と帯電状態が異なるため、電位差が生じて局所電流が発生する。

その局所電流が、興奮していない部分をさらに脱分極させて興奮させる。

このようにして興奮が伝達されていく。