カルボカチオン(C+)とは、炭素上に正電荷をもつカチオンのことである。

カルボカチオンの安定性は、安定性の高い順に以下のようになる。

  1. 第三級カルボカチオン
  2. 第二級カルボカチオン
  3. 第一級カルボカチオン
  4. メチルカチオン

要は、アルキル基が多く結合するほど安定になる。

超共役が安定化に関わる

出典:薬剤師国家試験 有機化学(@pharmexan)

要はアルキル基がたくさんつくほどカルボカチオンの安定性は上がるが、これには超共役が関わっている。

化合物の安定性を考えるとき、持っておきたいイメージは「電荷が分散されているか」である。

電子が化合物全体で分散されているときは電荷が分散されており、より安定だと言える。

逆に、電子が偏って分布していたりすると安定性は下がってしまう。

超共役とは?

超共役(Hyperconjugation)とは、ざっくり言うと「電子を供給すること」である。

つまり、超共役効果は電子供与効果と言える。

メチル基のC-H結合の一つは、カルボカチオンの空のp軌道のローブの一方と同じ平面にあり、重なりあっている。

このとき、C-Hσ結合の電子対を空いているp軌道のローブに供給することができる(上図赤矢印)。

このように、電子を供給して非局在化(分散)させることを「超共役」という。

超共役はσ結合の軌道の重なりによって起き、空のp軌道に電子を供給する。

結果的に分子全体の電荷が分散され、安定性が上がる。

アルキル基が多いほど安定性↑

カルボカチオンに結合するアルキル基が多いほど、より多くの電子をカルボカチオンに供給することができ、分子全体の電荷が分散される。

そのため、アルキル基が多く結合するほど、カルボカチオンの安定性は上がる。

よって、カルボカチオンの安定性は安定性の高い順に以下のようになる。

  1. 第三級カルボカチオン
  2. 第二級カルボカチオン
  3. 第一級カルボカチオン
  4. メチルカチオン