放射線は、次のように分類される。

  • 電磁放射線(electromagnetic radiation)
    • γ(ガンマ)線
    • X線
  • 粒子放射線(particle radiation)
    • α(アルファ)線
    • β(ベータ)線
    • 電子線
    • 陽子線
    • 中性子線
    • 重粒子線

電磁放射線 (electromagnetic radiation)

電磁放射線は、波長が極めて短く、透過性が高い電磁波である。一般的に、被曝で問題になるのはこの放射線である。次のものがある。

  • γ(ガンマ)線
  • X線

γ(ガンマ)線

γ線は、γ壊変または核異性体転移によって放出される電磁波である。

※核異性体:壊変によってできた原子核が、長時間高エネルギー状態のまま存在するもの
※核異性体転移:核異性体がγ線を放出してエネルギーの低い状態に移ること

γ線は透過力が強く、コンクリートであれば50cm、鉛であっても10cmの厚みで遮蔽できる。

γ線のスペクトルは、複数の線スペクトルである。

スペクトル計でγ線の各エネルギーごとの強度(カウント数)を解析すると、γ線は数カ所(複数の特定のエネルギー)に線スペクトルとなって現れる。

γ線放出核種の例

  • 60Co:ジャガイモの発芽防止に用いられる
  • 131I:甲状腺疾患の治療に用いられる
  • 99mTc:核異性体転移によってγ線を放出する

60Co、131Iは、β線放出核種でもある。

99mTcのように、核異性体は核種記号の質量数のあとにmをつけて表す。

X線

X線は電磁波である。軌道電子捕獲により、一定エネルギーのX線(特性X線)が放出される。

X線もγ線と同じように電磁波であるため、遮へいには鉛などの原子番号が大きいものが必要である。

  • 201Tl:特性X線を放出する

粒子放射線 (particle radiation)

粒子放射線は、質量を持った粒子の運動によって生じるものである。

粒子放射線の実体は、原子核そのものであったり、素粒子であったりする。次のものがある。

  • α(アルファ)線
  • β(ベータ)線
  • 電子線
  • 陽子線
  • 中性子線
  • 重粒子線

α(アルファ)線

  • α線は、陽子2個と中性子2個からなる
  • α線は、ヘリウムの原子核と同じである
  • α線は、紙1枚で遮蔽できる

α線のスペクトルは、線スペクトルである。

β(ベータ)線

β線は、厚さ数mmのアルミニウム板や厚さ10mmのプラスチック板で遮へいできる。

β線を扱うときは、二次的に発生する電磁波への配慮が必要である。

β+

β+線は陽電子であり、β壊変によって放出される。β+線放出核種は、ポジトロンCTに用いられる。

  • β+線放出核種の例
    • 11C
    • 13N
    • 15O
    • 18F
    • 22Na

β

β線は陰電子であり、β壊変によって放出される。

  • β線放出核種の例
    • 3H
    • 14C
    • 60Co(γ線放出核種でもある)
    • 131I(γ線放出核種でもある)

電子線

陽子線

中性子線

中性子線は水素とほぼ同じ質量で、水素によって減速される。そのため、水やコンクリートの厚い壁に含まれる水素原子によって遮へいされる。

鉛などの金属(原子番号の大きな元素)によって遮へいすることはできない。

重粒子線

 

体に集積する放射線核種

  • 全身
    • 14C
    • 137Cs(特に筋肉中)
    • 90Sr
  • 甲状腺
    • 131I
  • 脾臓
    • 59F

体内被曝

食品を通じて体内被曝する最大の要因となる放射性核種は、40Kである。

40K

40Kは天然放射性核種である。

全カリウム中の構成比は0.0012%と高い。

測定装置

GM計数管

GM計数管は、高エネルギーβ線などの検出に用いられる。

GM計数管は放射線の電離作用を利用して測定を行う。