アセチルコリン(ACh)
- 自律神経節前繊維
- 副交感神経節後繊維
- 運動神経
- 中枢のコリン作動性神経系
といった神経の終末から放出され、神経刺激を伝達する神経伝達物質である。
神経の伝達にとても重要であり、手を動かしたり、胃腸の運動を活発にしたりできるのはアセチルコリン(ACh)が神経伝達物質として機能しているからである。
アセチルコリン(ACh)出典:Wikipedia「アセチルコリン」
目次 (項目へとびます)
作用
末梢でAChはムスカリン様作用とニコチン様作用を示す。
特徴
末梢においてAChは血漿中のChEで分解され、低濃度のAChのみ作用部位に到達するため、その作用は一過性である。
静注されたAChは4級アンモニウム塩なので、削ヒ管吸収は不良であり、また血液脳関門は通過しないため中枢作用はない。
生合成
アセチルコリン(ACh)は、コリン作動性神経内で、コリンとアセチルCoAから、コリンアセチルトランスフェラーゼ(コリンアセチラーゼ)によって生合成される。
その後、アセチルコリンはシナプス小胞膜上の小胞アセチルコリントランスポーターによって小胞内に取り込まれ、シナプス小胞中に貯蔵される。
コリン + アセチルCoA
↓ コリンアセチルトランスフェラーゼ(コリンアセチラーゼ)
アセチルコリン
→ アセチルコリンはシナプス小胞に取り込まれ、貯蔵される。
アセチルコリンの分解(不活化) → コリンの再利用
シナプスに放出された後のアセチルコリン(ACh)は、コリンエステラーゼ(ChE)によってコリンと酢酸に分解され、不活性化される。
分解物のコリンは神経終末に取り込まれ、再びアセチルコリンの生合成に利用される。
このようにしてアセチルコリンは再利用されている。
アセチルコリン
↓ コリンエステラーゼ(ChE)
コリン + 酢酸
→ コリンは神経終末に取り込まれ、再びアセチルコリンに合成されて再利用される
コリンエステラーゼ(ChE)
コリンエステラーゼ(ChE)により、アセチルコリン(ACh)は分解される。
分解機構:ChEの活性中心
アセチルコリン(ACh)出典:Wikipedia「アセチルコリン」
コリンエステラーゼ(ChE)の活性中心は以下の2つである。
- 陰性部:AChの第4級アンモニウム基とイオン結合する
- エステル部:AChのカルボニル基と共有結合する
ChEにはこのように2つの活性中心があり、アセチルコリンをコリンと酢酸に加水分解する。
コリン
酢酸
ChEの分類
コリンエステラーゼ(ChE)にはアセチルコリンエステラーゼと血漿コリンエステラーゼの2種類があり、存在部位や特徴は以下のようになっている。
- アセチルコリンエステラーゼ(真性ChE):
- 存在部位:
- コリン作動性神経シナプス間隙
- 赤血球
- 特徴:Achのみを分解する
- 存在部位:
- 血漿コリンエステラーゼ(偽性ChE、非特異的ChE、ブチリルコリンエステラーゼ):
- 存在部位:
- 血漿
- 肝臓
- 特徴:Ach以外のエステル(スキサメトニウム、プロカインなど)も分解できる
- 存在部位:
アセチルコリンエステラーゼ(真性ChE)
アセチルコリンエステラーゼ(真性ChE)は血漿コリンエステラーゼ(偽性ChE)とは違い、AChだけを分解する。
コリン作動性神経シナプス間隙や赤血球に存在する。
血漿コリンエステラーゼ(偽性ChE)
血漿コリンエステラーゼ(偽性ChE)はアセチルコリンエステラーゼ(真性ChE)とは違い、Ach以外のエステル(スキサメトニウム、プロカインなど)も分解できる。
血漿や肝臓に存在する。
血漿コリンエステラーゼ(偽性ChE)は
- 非特異的ChE
- ブチリルコリンエステラーゼ
ともよばれる。
スポンサーリンク