能動輸送
能動輸送とは、細胞内外の物質を濃度勾配に逆らって輸送することである。
濃度勾配に逆らって輸送するためにはエネルギーが必要であるため、ATPの加水分解エネルギーを利用して輸送を行う。
「能動」からもわかるが、「自ら主体的にやること」を「能動的」というように、能動輸送は濃度勾配に逆らってでも「能動的に輸送すること」である。
目次 (項目へとびます)
種類
特徴
能動輸送には、次のような特徴がある。
- トランスポーターが関わる
- 飽和現象をおこす
- 非線形性を示すことがある
- 濃度勾配に逆らって輸送する
- ATPが必用
- 基質特異性を示す
- 競合的阻害を受ける
トランポーターが関わる
能動輸送は、トランスポーター(輸送担体)によって行われる。
飽和現象をおこす
トランスポーターが輸送できる量(速度)には、限界がある。そのため、輸送する物質(基質)が増えてくると、輸送しきれなくなり、飽和してしまう。このことを「飽和現象」という。
トランスポーターは酵素であり、輸送する物質は基質となるため、トランスポーターによる輸送速度はミカエリス・メンテン式に依存する。
非線形性を示す
トランスポーターによる輸送は、非線形性を示すことがある。非線形性を示すのは、上記の飽和現象をおこすからである。
ちなみに線形性とは、大雑把にいえば「輸送する物質が多ければ多いほど輸送する速度が速くなる」ということである。
そのため非線形性とは、「輸送する物質が多ければ多いほど輸送する速度が速くなるわけではない」ということである。
トランスポーターが輸送できる量(速度)には、限界がある。そのため、輸送する物質の量(濃度)が上昇しても、それに応じて輸送量(速度)もおなじように上昇するとは限らない。
輸送する物質の量が増えても、あるところで輸送量の限界がきてしまう。そのため、トランスポーターは、「輸送する物質の量が増えても、それに輸送速度が対応しない」という非線形性を示す場合がある。
濃度勾配に逆らって輸送する
能動輸送では、濃度勾配に逆らって輸送する。
通常、濃度が高いほうから低いほうへ移動するのが自然である。しかし能動輸送では、濃度が低いほうから高いほうへ輸送する。
低いほうから高いほうへ輸送するにはエネルギーがいるため、ATPの加水分解エネルギーを利用して輸送を行う。
能動輸送は、トランスポーターにより電気化学ポテンシャルに逆らって輸送を行うのである。
ATPが必要
上記のとおり、濃度勾配に逆らって輸送をおこなうため、ATPの加水分解エネルギーが必要である。
基質特異性を示す
能動輸送はトランスポーターによる輸送である。トランスポーターはタンパク質であり、特定の物質だけを基質として輸送する。
そのため、能動輸送は、「特定の物質だけを輸送する」という基質特異性を示す。
競合的阻害を受ける
上記にあるように、トランスポーターは特定の物質を輸送する。
しかし、その物質と化学構造が似ている物質がある場合、その似た物質が代わりに輸送されてしまう場合がある。
つまり能動輸送では、化学構造が似た物質により競合的阻害を受ける。
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